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接近禁止命令を発令する方法と注意点
接近禁止命令とは、配偶者による暴力や脅迫から逃れるための法的措置のことです。
DV被害を受けている方は、一人で我慢していると心身に重大なダメージを受けるおそれがあります。
深刻な被害を受ける前に接近禁止命令を申し立てて、身の安全を確保するようにしましょう。
発令するための方法と注意点を説明します。
接近禁止命令とは、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)で定められている保護命令の一つです。
裁判所が接近禁止命令を発令すると、配偶者による身辺への「つきまとい」や「はいかい」が6ヶ月間禁止されます。
DV防止法には、他にも以下の保護命令が定められています。状況に応じて、接近禁止命令と併せて申し立てることが可能です。
・電話等禁止命令
・子への接近禁止命令
・親族等への接近禁止命令
・退去命令
2.接近禁止命令の申立て要件
接近禁止命令を申し立てることができるのは、以下の3つの要件をすべて満たす場合です。
・申立人と相手方が夫婦(事実婚を含む)または同棲の関係にあること
・婚姻中または同棲中に相手方の暴力や脅迫が行われたこと
・生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと
モラハラなど精神的な攻撃のみのケースは対象外なので、ご注意ください。
離婚後に元配偶者による暴行・脅迫やつきまとい・はいかいが始まった場合も対象外ですが、この場合はストーカー規制法に基づく対応が可能です。
3.接近禁止命令を発令してもらう方法
接近禁止命令を申し立てるためには、原則として事前にDVセンター(配偶者暴力相談支援センター)または警察に相談しておく必要があります。
それから裁判所に申立てを行います。その際には、相手方のDV行為を証明できる証拠も必要です。
申立てが受理されると、口頭弁論または審尋が行われ、相手方に意見陳述の機会が与えられます。
裁判所が証拠や相手方の意見を精査し、要件を満たすと判断すれば接近禁止命令が発令されます。
申立てから発令までの期間は、順調に手続きが進めば1~2週間ほどです。
4.接近禁止命令についての注意点
接近禁止命令ですべての問題を解決できるわけではありません。以下の点には注意が必要です。
(1)必ずしも発令されるとは限らない
危険なDV行為が実際に行われたとしても、客観的な証拠がなければ接近禁止命令は発令されません。できる限り、DV行為の記録(動画や音声データ)や、怪我の診断書、写真などを確保しておきましょう。
また、モラハラや経済的DVなどの嫌がらせでは接近禁止命令は発令されません。対象外のケースでは、状況に応じて警察への被害届や、民事的な手段で解決を図る必要があります。
(2)相手方が命令に違反することもある
相手方が命令に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑罰の対象となります。それでも、相手方が命令を無視して連絡をとってくることは少なくありません。
身の危険を感じたときは、すぐ警察に通報しましょう。相手方に居場所を知られないようにする、夜道を一人で歩かないなどの自衛策も重要となります。
(3)命令の有効期間は6ヶ月だけ
接近禁止命令の有効期間は6ヶ月だけです。
6ヶ月以内に離婚問題が解決せず、相手方のDV行為が続く場合には、延長の申立てや再度の申立てが必要となります。
5.DV問題の解決には弁護士のサポートが有効
配偶者によるDVで身の危険を感じたら、DVセンターや警察に相談して身の安全を確保するとともに、弁護士にもご相談ください。
弁護士は、被害者に代わって相手方に警告し、交渉します。接近禁止命令の申立ても代行しますし、離婚手続きも全面的にサポートすることが可能です。
下関、宇部、周南、岩国で接近禁止命令の申し立てをお考えの方や、DVに限らず離婚をお考えの方は、弁護士法人ONEへお気軽にご相談ください。