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アルコール依存症の配偶者と離婚するには?

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配偶者がアルコール依存症で家庭生活が立ち行かない状態では、離婚したいと思っても無理はありません。

ただし、簡単に離婚できるとは限らないことに注意が必要です。

1.アルコール依存症とは?

アルコール依存症とは、単にお酒が好きという状態を超えてお酒を飲まずにはいられなくなり、自分の意志ではコントロールできない状態のことをいいます。

依存症は精神医学上の病気です。
お酒を飲まないでいると手が震えるなどの離脱症状が出る、仕事や家族、趣味などの大切なことよりも飲酒をはるかに優先させてしまう、飲酒が原因で健康問題等が生じていることを自覚しつつも飲まずにはいられないなど、一定の診断基準に当てはまる場合にアルコール依存症と診断されます。

2.アルコール依存症を理由として離婚はできる?

配偶者がアルコール依存症の場合、離婚できる場合と離婚できない場合があります。

(1)配偶者の同意があれば離婚できる

配偶者が離婚に同意する場合は、理由を問わず協議離婚ができます。

(2)同意がない場合は法定離婚事由が必要

法定離婚事由とは、裁判をすれば強制的に離婚が認められるケースとして民法で定められている事情のことです。

配偶者が同意しない場合には、裁判手続きで法定離婚事由を主張していく必要があります。

3.アルコール依存症は法定離婚事由にあたるのか?

結論からいいますと、アルコール依存症というだけでは法定離婚事由にあたりませんが、他の事情を併せて主張することで離婚が認められる可能性があります。

(1)「強度の精神病」にはあたらない

法定離婚事由の一つに「強度の精神病にかかり、回復の見込みがない」というものがあります。

しかし、アルコール依存症は適切な処置によって改善が可能と考えられているため、この事由にあたりません。

(2)「悪意の遺棄」にあたる可能性もある

配偶者がお酒に溺れて働かなくなったり、飲み代を使いすぎて生活費を渡してもらえないような場合には、「悪意の遺棄」という法定離婚事由にあたる可能性があります。
その場合には離婚が可能です。

(3)「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる可能性もある

お酒を飲んだ配偶者から暴力や暴言を受けている場合は、DVあるいはモラハラに該当する可能性があります。

また、配偶者の飲酒が原因で夫婦関係が悪化し、修復できないほどに破綻することもあるでしょう。

これらの場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」という法定離婚事由にあたる可能性があります。
この場合も離婚が可能です。

4.アルコール依存症の配偶者と離婚する場合、慰謝料を請求できる?

法定離婚事由がある場合には、慰謝料も請求できます。

ただし、アルコール依存症に陥った配偶者に支払い能力があるかどうかは別問題です。
耐えがたい状況にある場合は、早めに離婚の決断をした方がよいといえます。

5.離婚できない場合の対処法

配偶者の同意がなく、法定離婚事由もない場合には、以下の対処法が考えられます。

(1)別居する

すぐに離婚できない場合は、別居することが賢明です。距離を置いて話し合いを重ねれば、相手も離婚を受け入れるようになる可能性があります。

また、別居期間が長引くと、そのことが夫婦関係破綻の証左となり、離婚が認められやすくなります。

(2)治療に協力する

アルコール依存症さえ治してくれれば離婚しなくてよいという場合は、治療に協力しながら暮らしていくという選択肢もあります。

アルコール依存症は病気であり、医学的なプログラムも用意されています。ただ、改善させるためには周囲の人も協力して、根気よく取り組むことが必要です。

楽な道のりではありませんが、一緒に乗り越えていくことで夫婦の絆が深まることも期待できます。

夫婦関係でお悩みの方は、ぜひ一度、下関・宇部・周南・岩国の弁護士、弁護士法人ONEへご相談ください。詳しい事情を伺い、最適な解決方法を提案いたします。

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