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離婚後に親権者を変更できる?

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「離婚時に子どもを手放したけれど、もう一度、一緒に暮らしたい」あるいは、「離婚した相手に子どもを託したものの、虐待を受けているようだ……」などの事情で、親権者変更を望んでいる方もいらっしゃることでしょう。

離婚後に親権者を変更することはできるのでしょうか。

 

1.親権者の変更は可能

親権者の指定は、父母のどちらが子育てをする方が子どもの健全な成長にとって望ましいかという観点から行われるものです。
したがって、離婚後の子育ての状況が芳しくない場合や、もう一方の親が子育てをする方がより望ましい状況となったような場合には、親権者の変更が認められます。

2.親権者変更が認められるケース

親権者の変更が認められる具体的なケースは、以下のとおりです。

(1)親権者が死亡または行方不明となった
親権者がいなくなった場合は親権者変更が可能ですが、自動的に変更されるわけではありません。
このような場合には「未成年者後見人」が選任され、後見人が子どもの監護養育をしていくことになります。
ただ、もう一方の親の方が後見人よりも適切に監護養育できる状況であれば、親権者変更が認められやすくなります。

(2)親権者に重大な病気や障害が発生した
親権者が重病や精神障害のために子育てができなくなった場合も、親権者変更が認められやすいです。
ただし、病気や障害が発生したからといって必ずしも親権者変更が認められるわけではなく、どれくらい子育てに支障が生じているのかが問題となることに注意が必要です。

(3)親権者が子どもに虐待や育児放棄をしている
親権者が子どもを虐待したり、育児放棄をしたりしている状況では子どもの健全な成長が期待できないため、親権者変更が認められる可能性が高いといえます。
ただし、もう一方の親が適切に子育てをできるかどうかも問われることに注意しなければなりません。

(4)養育環境が大きく変化した
親権者自身に責任はなくても、養育環境が大きく変化した場合には親権者変更が認められる可能性が十分にあります。
例えば、親権者が海外へ転勤となり子どもを連れて行けない場合や、親権者が再婚したものの子どもと継父やその子どもとの折り合いが悪い場合などが考えられます。

(5)子ども自身が親権者変更を望んでいる
15歳以上の子どもが親権者変更を望んでいる場合は、高い確率で変更が認められます。
15歳未満の場合も子どもの意思は尊重されますが、決め手にはなりません。幼い子どもが「パパ(またはママ)と暮らしたい」と言ったとしても、それだけで親権者変更が認められる可能性は低いです。

3.親権者を変更する手続き

親権者を変更するためには、家庭裁判所での手続きが必要です。

離婚時には夫婦の話し合いのみで親権者を指定できますが、いったん指定された親権者を途中で変更すると子どもの成長に重大な影響を及ぼす可能性が高いため、話し合いのみで変更することは認められていません。
具体的には、「親権者変更調停」を申し立てることになります。家庭裁判所で話し合い、相手方と合意ができれば調停成立となり、親権者変更が認められます。
調停が成立しない場合は審判の手続きに移行し、家庭裁判所がすべての事情を考慮して判断を下します。

親権者を変更することは、事案の内容にもよりますが、一般的には容易なことではありません。
現在の養育状況における問題点と、ご自身が親権者としてふさわしいといえる事情を、家庭裁判所に対してわかりやすく説明・立証することがポイントとなります。
そのためには専門的な知識とノウハウが要求されますので、一人で抱え込まず弁護士へのご相談をおすすめします。

離婚に際して親権問題でお悩みの方は、下関・宇部・周南・岩国の弁護士法人ONEまでぜひ一度、ご相談ください。

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