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リストラの3つのやり方~メリット・デメリットは?
リストラとは、「restructuring(リストラクチャリング)」の略語で、会社の経営上の理由などによりやむを得ず人員を削減することを意味します。
リストラのやり方には3つの方法がありますが、メリット・デメリットはそれぞれ異なります。十分に比較検討した上で、自社の状況に合った方法を選ぶことが大切です。
1.リストラを行う3つの方法
リストラにより人員を削減する方法には、以下の3種類があります。
(1)希望退職者の募集
1つめは、希望退職者を募って自主退職してもらう方法です。
通常は希望退職者など都合よく出てくるものではありませんので、退職金の上積みなど条件面で優遇して募集をかける必要があります。
(2)退職勧奨
2つめは、辞めてほしい従業員に退職を勧めて、合意退職してもらう方法です。
合意ができれば条件面で優遇する必要はありませんが、対象者を説得するために退職金の上積みなどが必要となることもあります。
(3)整理解雇
3つめは、従業員の意向にかかわらず雇用契約を解除する方法で、「整理解雇」と呼ばれるものです。
リストラという言葉が強制的な解雇という意味で用いられるときは、この整理解雇のことを指します。
2.希望退職者の募集によるリストラのメリット・デメリット
希望退職者を募集する方法には、次のメリットがあります。
・不当解雇で訴えられるリスクが低い
一方で、以下のデメリットがあります。
・手続きに労力がかかる
・金銭的な負担(退職金の増額など)も大きい
・優秀な人など辞めて欲しくない人が辞める可能性がある
この方法は、ある程度規模が大きな企業でないと行うことは難しいでしょう。
3.退職勧奨によるリストラのメリット・デメリット
退職勧奨による方法には、次のメリットがあります。
・辞めてほしい人に辞めてもらえる
・秘密裏にリストラを行うことも可能
一方で、以下のデメリットがあります。
・退職を強要すると不当解雇で訴えられるリスクがある
・説得するために労力がかかる
・退職してもらえるとは限らない
退職の強要は違法なので、あくまでも退職勧奨の範囲内で行う必要があります。そのため、対象者との交渉がポイントになります。
4.整理解雇によるリストラのメリット・デメリット
整理解雇を募集する方法には、次のメリットがあります。
・強制的にリストラを実行できる
一方で、以下のデメリットがあります。
・合法的に解雇するためには厳格な要件を満たす必要がある
・要件を満たさない場合は不当解雇となる
・労力の負担が最も重い
整理解雇が認められる要件は非常に厳しいので、自由にできるものではありません。
強制的な整理解雇は、最後の手段として考えるべきです。
5.合意退職で円満にリストラを行うためのポイント
会社の経営上の理由などでやむを得ずリストラによる人員削減を行う場合でも、できる限り対象者に納得してもらった上で、円満に合意退職してもらうことが望ましいといえます。
そのためには、いかにリストラしなければならない理由と、その人に辞めてもらわなければならない理由を合理的に説明できるかがポイントになります。
「明日から来なくていい」などと言い放つのもいけませんが、退職に追い込むために嫌がらせをすると損害賠償請求を受けるおそれもあります。
交渉が難しい場合は、弁護士に相談することが有効です。退職勧奨の面談の席上で、弁護士から冷静かつ合理的な説明・説得を行ってもらうことにより、円満内解決も可能となります。
弁護士法人ONEでも、リストラに関するご相談を承っております。御社の状況に応じて最善のサポートをいたしますので、お困りの際はぜひ一度、ご相談ください。