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離婚後に守秘義務を課すことはできる?秘密やプライバシーは守れるの?

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夫婦は離婚すると他人になりますが、離婚後も第三者に口外されたくない秘密を配偶者に知られていることも多いでしょう。

そんなとき、離婚後も秘密を守るべき「守秘義務」を相手に課すことはできるのでしょうか。

1.離婚後の守秘義務とは
守秘義務とは、相手の秘密を正当な理由なく第三者に口外してはならないという義務のことです。
離婚する際には、離婚条件だけでなく、離婚に至る経緯、婚姻中に相手に知られた秘密など、離婚後も第三者に知られたくない事情がいくつかはあることでしょう。

例えば、以下のような秘密を相手が吹聴すると、周囲の人たちからのあなたの評価が下がり、再婚が難しくなるおそれもあります。

・不倫をしていた
・ギャンブルで借金を作った
・特殊な性癖がある

夫婦が離婚した後に、相手の秘密を口外してはならないという法律上の守秘義務はありません。
しかし、夫婦間の話し合いで合意ができれば、契約上の守秘義務を課すことは可能です。この契約のことを「秘密保持契約」と呼ぶこともあります。

2.離婚後の守秘義務を定める方法

夫婦間で秘密の保持について合意できたとしても、後日のトラブルを回避するためには口約束だけで終わらせず、書面を作成して守秘義務条項を定めておくことが重要です。以下の書面には、守秘義務条項を盛り込むことができます。

・離婚協議書(夫婦だけで作成する場合)
・公正証書(公証役場で離婚協議書を作成する場合)
・調停調書(離婚調停をした場合)
・和解調書(離婚訴訟で和解した場合)

守秘義務条項の書き方は、「当事者双方は、本件離婚の条件および離婚に至る経緯について、正当な理由なく第三者に口外してはならない」というような文面を記載することが一般的です。

ただ、守秘義務条項を定めたとしても、相手が秘密を堅く守る保証はありません。不安な場合は、守秘義務に違反した場合の違約金を定めておくことで、相手に対して心理的な強制力を与えることができます。

違約金の額に相場はありませんが、実務上は100万円程度の違約金を定めるケースが多いです。

3.相手が秘密を口外した場合はどうなる?

離婚後に相手が守秘義務に違反して秘密を口外すると、違約金を定めていた場合には、その金額を請求できます。ただし、法外な金額を定めていた場合には、社会通念上相当と認められる金額に減額される可能性が高いので注意が必要です。

違約金を定めていなかったとしても、名誉権侵害やプライバシー権侵害を理由として、相手に慰謝料を請求できる可能性があります。ただし、一般的にいって高額の慰謝料は認められません。

状況によっては、名誉毀損罪や侮辱罪などで相手を刑事告訴できる場合もありますが、警察が動いてくれる可能性は低いのが実情です。

そのため、秘密を守るためには、離婚時に相手と十分に話し合って理解を得た上で、守秘義務条項や違約金条項を記載した書面を作成することが重要となります。

4.弁護士などの専門家は法律上の守秘義務を負っている

弁護士や裁判官、家庭裁判所の職員や調停委員、公証人など、離婚手続きに関与する専門家の人たちはすべて、「職務上知り得た秘密を正当な理由なく第三者に漏らしてはならない」という法律上の守秘義務を課されています。

これらの人たちが、あなたの秘密を漏らすことはありませんので、ご安心ください。

離婚後に秘密が漏れることを防止するためには、相手の納得を得て離婚を成立させることが重要です。相手が大きな不満を抱えたままでは、腹いせや仕返しなどの目的で秘密を口外される可能性が高いからです。

弁護士法人ONEにご依頼いただければ、相手の納得が得られるように離婚協議を代行して進め、守秘義務の確約を図ります。

下関、宇部、周南、岩国で離婚問題にお困りの方は、弁護士法人ONEへお気軽にご相談ください。

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