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離婚前に別居するメリットとデメリット 子供や財産はどうなる?
離婚前に別居する夫婦は多いですが、別居にはメリットとデメリットがあります。
これから離婚するために別居をお考えの方は、事前にしっかりと確認しておかれた方がよいでしょう。
離婚するために必ずしも別居しなければならないというわけではありません。同居したまま離婚協議を進める夫婦も少なくはありません。
しかし、配偶者からDVやモラハラを受けている場合には、離婚協議を後にしてでも別居を開始し、身の安全を確保した方がよいといえます。
その他のケースでは、以下のメリット・デメリットを考慮してご判断いただくことをおすすめします。場合によっては、家庭内別居で離婚協議を進めるという方法もあります。
2.離婚前に別居するメリット
別居のメリットとしては、以下のことが挙げられます。
・同居のストレスから解放される
・DVやモラハラの被害を断ち切れる
・冷静に離婚協議を進めやすくなる
・離婚する意思が強いことを相手に示せる
・別居が長引けば相手が諦めて離婚に応じる可能性がある
・長期間の別居で裁判離婚できる可能性が高まる
同居中は相手に対して言えなかったことでも、別居すれば伝えやすくなるので、離婚協議を進めやすくなる可能性は非常に高いです。夫婦が物理的に離れると精神的にもやがて離れていきますので、別居を続けていくうちに自然と離婚に至ることもよくあります。
法律的にも、離婚が長期間に及ぶと夫婦関係が破綻していることの証であると捉えられています。そのため、「婚姻を継続しがたい重大な事由」という法定離婚事由があるものとして、裁判で離婚が認められやすくなるのです。
どれくらいの別居期間で裁判離婚が認められるかについては、さまざまな事情を考慮する必要があるので一概には言えません。
ただ、平均的にいえば、性格の不一致で別居した場合で「5年」がひとつの目安となります。
なお、別居中は「婚姻費用」として生活費の分担を相手に請求できます。
3.離婚前に別居するデメリット
別居には以下のデメリットもあるので、注意しましょう。
・転居などに費用と労力がかかる
・経済的に苦しくなる可能性が高い
・子どもに悪影響が及ぶことがある
・離婚に必要な証拠が得られにくくなる
・相手に財産隠しをされるおそれがある
・別居後に相手が得た財産は財産分与の対象とならない
・勝手に家を出ると「悪意の遺棄」として有責行為となる可能性がある
・勝手に子どもを連れ出すと罪に問われるおそれもある
・やり直したいと思っても難しくなる可能性がある
別居中は相手に婚姻費用を請求できるとはいっても、あくまでも生活費を「分担」できるに過ぎません。ある程度は自分で生活を支える必要があります。
とくに注意が必要なのは、無断で家を出る行為と子どもを連れ出す行為です。離婚が成立するまで夫婦には同居義務がありますし、相手にも親権があります。
相手の了解なく家を出たり子どもを連れ出したりすることは原則として違法であり、離婚の裁判で不利になったり、逆に慰謝料を請求されることもあるのです。親権者争いでも不利になる可能性があるので注意が必要です。
ただし、相手がDVやモラハラ、不倫など同居に耐えがたい有責行為を行っている場合は、緊急避難として正当な別居と認められます。
4.別居する前にやっておくべきこと
緊急避難的に別居を開始する場合は別として、できる限り事前に準備を整えた上で別居すべきです。
新たな住居や仕事、子どもの転園・転校先などは、必要に応じて早めに手配しましょう。
離婚や慰謝料請求、財産分与の請求に必要な証拠は、別居後に入手することは難しいので事前に確保しておくことが重要です。
早めに弁護士にご相談いただければ、離婚に向けてやっておくべきことについて具体的なアドバイスが得られます。
弁護士法人ONEでは、離婚や別居に関するさまざまなお悩みについて、全力でサポートしております。お困りの際は、下関、宇部、周南、岩国の弁護士法人ONEまでお気軽にご相談ください。