破産の目的

破産という制度はなぜ必要か

そもそも破産という制度は、①債権者間の公平と、②債務者の再起更生を目的として定められています(破産法1条)。

すなわち、もし破産という制度がなければ、債務者が経済的に破綻した場合、いわば弱肉強食の容赦のない社会となりますが、そのような社会は望ましくなく、是正されなければなりません(債権者は力の優劣に関わりなく、平等として扱われなければなりません)。
また、債務者にとっても、破産という制度がなく、いつまでも債務を支払わなければならないのであれば、その経済的な更生はいつまで経っても覚束なくなります。

破産者の財産は債権者に平等に分配

このような目的から破産という制度が設計されているわけです。
そして、このことからすれば、破産という制度は、破産者が債務全額を弁済できなくなっている状態に陥っていることを前提としつつ、債権者ではない第三者が破産者の資産を換価し、債権者に平等に分配することを第1の旨としなければなりません。

法律では、破産開始原因を「支払不能時」と定め、この破産者の資産を換価し、債権者に財産を平等に分配する役割を果たすのを「破産管財人」(裁判所から選任され、弁護士が就任することがほとんどです)という職務に委ねています。

破産者の資産は一定範囲に限定

もっとも、債務者の再起更生という観点からすれば、破産者の資産が現在保有するものも、今後、保有する予定のものも、すべて換価の対象になる(債権者への弁済原資となる)というのでは、再起更生には到底つながりません。
そこで、債権者に分配される対象となる破産者の資産は一定範囲のものに限定されなければならないことになるはずです(第2の旨)。

そのため、法律(破産法)では破産管財人による換価の対象となるのは、破産手続開始決定時点において破産者が有する財産に限定されているのです。