破産の種類

破産事件の種類

破産事件には、大きく分けると「同時廃止事件」と「管財事件」があります。

管財事件

「管財事件」とは、破産者が有していた財産により破産財団が形成され、それらを破産管財人が換価し、債権者に公平に分配するという類型です。
その流れとしては、破産手続開始の申立後、地方裁判所により破産手続開始決定が出されると同時に破産管財人が選任されます(破産法31条1項)。
そして、破産者が破産手続開始決定時に所有していた財産によって「破産財団」が形成されます。破産管財人は、破産財団の財産を換価処分して、換価して得た金銭を債権者に公平に分配します。
この「管財事件」が破産法が本来的に予定している破産の類型であるといってよいでしょう。

もっとも、カード破産や消費者破産に至った債務者は、カードを使って無分別に買い物をしたり、生活費困窮で消費者金融から借金を繰り返したりして破産に至った経緯があることが多く、預貯金や不動産などの資産はほとんどないという場合が多いです。このような場合には、破産しても債権者に配当することはおろか、破産財団を構成することもできません。

同時廃止事件

そこで、破産法は「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない」(破産法216条1項)と規定しています。つまり、破産財団を構成する財産すらない、または破産財団ができたとしても、破産手続費用すら支出できないような場合には、破産手続開始と同時に破産手続を終わらせてしまうことができるのです。これを「同時廃止事件」といいます。

「管財事件」になれば、時間もかかりますし、費用負担も多くしなければなりません。他方、「同時廃止事件」となれば、時間も費用もさほどかからずにすみます。