コラム一覧
任意整理の手続きの流れ
任意整理とは、裁判所を利用せず各債権者と直接交渉することで今後の返済額や返済方法を新たに取り決める手続きのことです。
手続きの内容は法律で定められているわけではありませんが、一定の流れに沿って進められます。
1.任意整理手続きの進め方
任意整理の手続きは、以下の流れで進めていきます。
(1)取引履歴の取り寄せ
取引履歴とは、債権者と債務者とのすべての取引の内容が記載された記録のことです。任意整理をするためには、正確な残債務額を把握するために取引履歴を入手することが必要です。
判例上、貸金業者には取引履歴の開示義務があるとされているので、債権者に連絡して申し出れば快く取引履歴を送付してもらえます。
(2)利息引き直し計算
取引履歴を入手したら、すべての取引に法定金利を適用して利息の計算をやり直します。これを利息引き直し計算といいます。
法定金利を超える金利で取引をしていた場合は、払い過ぎた利息を元金に充当できるので元金が減ります。
(3)債権者との交渉
利息引き直し計算によって判明した残元金を前提として、今後の返済額と返済方法について債権者と交渉します。
残元金を3年~5年で分割返済する内容で交渉するのが一般的です。
(4)和解の成立
債権者と合意ができたら和解が成立します。和解書を取り交わして任意整理の手続きは終了となります。
(5)返済の開始
通常は和解成立の翌月から返済が始まります。ただし、交渉次第では返済開始まで数ヶ月待ってもらえることもあります。
2.任意整理による借金減額の効果
任意整理では、以下の手法で借金を減額できます。
・払い過ぎた利息を元金に充当する
・将来利息を免除してもらう
・返済期間を延長してもらうことで毎月の返済額を減らす
将来利息とは、残元金に対して今後発生する利息のことです。
元金と遅延損害金については、交渉次第ですが、基本的に減免してもらうことは難しいの実情です。
そのため、自己破産や個人再生のように借金が大幅に減免されるわけではありませんが、将来利息が免除されるだけでも今後の返済額は減少します。
例えば、消費者金融4社から総額200万円を借りていて、いずれも金利18%、60回払いで返済する場合、将来利息が免除されると返済総額は約104万円、毎月の返済額も2万円近く減らせます。
返済期間の交渉次第ではさらに毎月の返済額を減らすことが可能となるので、任意整理をするメリットは大きいといえるでしょう。
3.任意整理手続きにかかる期間
弁護士に任意整理を依頼した場合、和解成立までにかかる期間は3ヶ月~6ヶ月程度が目安となります。
債権者によっては3ヶ月以内の和解成立を求めてくるところもありますが、一方では6ヶ月を超えても待ってくる債権者もいます。
しかし、和解成立が遅れると遅延損害金が高額となるので、3ヶ月~6ヶ月程度で和解を目指した方がよいでしょう。
4.任意整理を弁護士に依頼するメリット
任意整理は自分で行うこともできますが、できる限り弁護士に依頼することをおすすめします。
債権者は自分で手続きを行う債務者に対しては厳しい和解条件を押しつけてくることが多いですが、弁護士が介入すると柔軟な交渉に応じることが多いものです。
また、弁護士に依頼するとすぐに受任通知を送付してもらえますが、これが債権者に届いた時点で督促や取り立てがストップします。
その後は取引履歴の取り寄せから利息引き直し計算、債権者との交渉、和解書の作成まで、すべての手続きを弁護士に任せることができます。
弁護士が全面的にサポートしてくれることで精神的な負担も軽減されるので、弁護士に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。
任意整理をお考えの方は、ぜひ一度、下関・宇部・周南・岩国の弁護士、弁護士法人ONEへご相談ください。