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相続税の申告期限を過ぎたらどうなる?ペナルティーと対処法

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相続税が発生する場合には、期限内に申告して納税しなければなりません。申告期限を過ぎるとペナルティーを受けるので注意が必要です。

1.相続税の申告期限は10ヶ月

相続税の申告期限は、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月」です。この期限までに申告し、納税まで済ませる必要があります。
この期間の最終日が土・日・祝日や年末年始に当たる場合は、その翌日が期限となります。
申告先は、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署です。

2.相続税の申告が必要なケース

相続税の申告はすべてのケースで必要なわけではありません。相続税の申告が必要なケースは以下のとおりです。

(1)遺産総額が基礎控除額を超える場合
相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求めます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、父が亡くなり母と子ども2人が相続する場合は法定相続人が3人ですので、基礎控除額は4,800万円となります。
課税対象となる遺産の総額がこの範囲内であれば相続税はかかりませんので、申告不要です。

(2)特例の適用によって非課税となる場合
相続税がかからないケースでも、特例を適用することによって非課税となる場合には申告が必要なのでご注意ください。

相続税額を大幅に軽減できる特例には、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」をはじめとして、さまざまなものがあります。
これらの特例は、期限内に申告することではじめて適用されるものです。期限後の申告では特例が適用されなくなってしまいます。

3.相続税の申告期限が過ぎたらどうなる?

期限までに相続税を申告しなければ、以下のペナルティーを受けることになります。

(1)納税額が増える
期限内に正当な理由なく相続税の申告をしなかったときは、「無申告加算税」が課せられます。
さらに、納付期限の翌日から納付するまで「延滞税」も課せられます。

期限後でも早期に申告・納税すれば、そこまで高い税率はかかりませんが、放置すると税率が高くなっていくことに注意が必要です。
最大で無申告加算税20%、延滞税14.6%がかかることがあります。

(2)特例が使えなくなる
先ほどもご説明しましたが、期限後は税額を軽減するための特例が使えません。
特例を使えば非課税となるケースでも、期限を過ぎると高額の相続税を納めることになりかねないのです

4.相続税の申告・納付が間に合わないときの対処法

相続税の申告・納付が期限に間に合いそうにないときでも、いくつかの対処法があります。

(1)特殊な事情がある場合
災害にあった場合や、相続人と見なされていた胎児が出生した場合など特殊な事情がある場合には、2ヶ月まで申告期限の延長を求めることができます。
ただし、10ヶ月以内に延長の申請手続きを行うことが必要です。

(2)遺産分割が進まない場合
期限までに遺産分割が終了しない場合には、法定相続分どおりに遺産分割をしたものと仮定して相続税の申告・納付を行いましょう。

遺産分割が終了したら、「更正の請求」を行うことで、納め過ぎた税金があれば還付を受けられます。
「3年以内の分割見込み書」を一緒に提出すれば、遺産分割後に特例の適用を受けることも可能です。

(3)納税するお金がない場合
税金は一括払いが原則ですが、相続税を支払う余裕がない場合には、状況次第で「延納」や「物納」が認められる可能性があります。
ただし、期限内に提出して税務署の許可を受けることが必要です。

5.相続税の申告をスムーズに進めるためのポイント

相続が発生したら、相続人と相続財産の調査を効率よく行った上で、相続人同士で冷静に話し合い、早期に遺産分割を成立させることが理想的です。
相続税額を抑えるためには、各種の特例や控除の適用も検討しつつ遺産分割協議を行うことも大切です。

これらの作業には専門的な知識とノウハウを要しますので、早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。
下関、宇部、周南、岩国、その他山口県内で遺産相続や相続税の申告にお困りの方は、弁護士法人ONEまでお気軽にご相談ください。

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