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遺言書の正しい書き方とは

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遺言書を作成しておけば、自分の希望どおりに遺産を分けてもらうことが可能となりますし、相続トラブルの防止にもつながります。

ただ、遺言書を書く際には法律に定められた細かなルールを守らなければ、遺言そのものが無効となってしまうことに注意が必要です。

1.遺言書の種類

遺言書には、次の3通りの種類があります。

・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言

この中でも最も利用されることが多いのは自筆証書遺言です。1人でいつでも自由に作成できますし、費用もかからないというメリットがあります。

しかし、作成上のルールが最も厳しいため、書き方に注意しなければなりません。

2.自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言を書くときには、以下のポイントにご注意ください。

(1)本人が手書きで作成すること

自筆証書遺言は、遺言者本人が直筆したものでなければなりません。パソコンやワープロで作成したり、家族であっても他人に代筆してもらったりすると無効になります。

ただし、添付する財産目録についてはパソコン等による作成や代筆が認められます。この場合は目録の各ページに遺言者の署名・押印が必要です。

(2)誰が何を取得するのかを特定して記載すること

遺言内容は、誰がどの遺産を取得するのかを正確に記載する必要があります。

不動産については登記事項証明書の記載どおりに、預金については金融機関名、支店名、預金の種類、口座番号といった情報を正確に記載しなければ、遺産を特定したことにはなりません。

不明確な書き方をすると、その条項は無効となります。

(3)日付を正確に記載すること

遺言書を作成した日付を記載することも不可欠です。その際、「令和4年6月吉日」といった曖昧な記載では日付が特定されないため、遺言書全体が無効となってしまいます。

「令和4年6月1日」または「2022年7月1日」というように正確に記載することが必要です。

(4)署名と押印をする

署名と押印がない場合も、遺言書全体が無効となります。

署名は遺言者本人が直筆する必要があります。押印は認印でも構いませんが、偽造や変造を防止するために実印を使用する方が望ましいです。

(5)加除・訂正のルールを守る

いったん記載した内容を訂正したり、追加・削除を行う際には、法律で定められた加除・訂正のルールを守る必要があります。

遺言書を書き損じた場合は、改めて書き直す方が無難です。

(6)その他の注意点

以下の点は遺言書の有効・無効に影響を及ぼすものではありませんが、一般的に守っておきたい注意点となります。

・遺言書が2枚以上となる場合は契印をする
・遺言書が改ざんされるリスクを避けるため、封筒に入れて封印する
・相続手続きがスムーズに行われるように、遺言執行者を指定しておく
・相続トラブルを防止するため、相続人の遺留分に配慮した内容とする

3.公正証書遺言の書き方

公正証書遺言は公証人が作成するものなので、書き方を心配する必要はありません。遺言内容を公証人に伝えれば、正確な遺言書を作成してもらえます。

ただし、遺言内容の適否に関するアドバイスは受けられないので、遺言内容については自分で熟慮して決めておく必要があります。

4.秘密証書遺言の書き方

秘密証書遺言は、自分で作成した遺言書を封印し、公証役場でその存在を証明してもらう方式の遺言書です。

自筆証書遺言とは異なり、署名・押印を除いてパソコンで作成したり、代筆してもらうことも可能です。

ただし、遺言内容が不明確であればその条項が無効となる可能性はあります。

5.遺言書を作成するなら公正証書遺言がおすすめ

自筆証書遺言は便利な方式ではありますが、形式や内容の不備により無効となる可能性が高い上に、紛失や偽造・変造されるおそれもあります。

それに対して公正証書遺言は、公証人が正確に作成してくれる上に、公証役場で保管されるため紛失や偽造・変造のおそれがありません。

せっかく遺言書を作成するなら、最も有効性が高い公正証書遺言とすることをおすすめします。

弁護士法人ONEでは、遺言内容の決め方から遺言書の書き方までご相談を承っております。公正証書遺言作成のサポートもいたしますので、遺言書の作成をお考えの方はぜひ一度、ご相談ください。

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