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相続税と節税対策

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法律相談で相続のご相談をお伺いする際に,「相続した際に相続税はどうなりますか」,「生前にできるだけ節税をしたいんだけど,どうすればいいですか。」などと,相続税に関する税制度や節税対策などの質問を受けることが多くあります。

節税対策の一つとして,生前に不動産を購入する方法が手段として用いられることが少なくありません。

なぜ不動産の購入が節税対策になり得るのでしょうか?

理由は,不動産を相続する際に申告する評価額にあります。
国税庁が出している「財産評価基本通達」では,相続税の不動産の算定基準を「路線価」とすることが定められています。

路線価とは,国税庁が発表するもので,一般に不動産時価の70~80%の評価で算出されるものとされています。
不動産を相続した際には,時価の70~80%の評価で申告して納税すればよいので,簡単に節税が出来るのです。

しかしながら,日本経済新聞は,本年11月18日の記事で,「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」とした東京地裁判決(令和元年8月27日東京地裁判決)が波紋を広げていると報道しました。

事案の内容は,亡くなる2,3年前に,路線価の4倍近くの金額で不動産を購入し,相続発生後,相続人が路線価に基づく申告を行ったのに対し,国がこれを過少申告として,時価評価で追徴課税処分を行ったものです。

上記判決によると,「評価通達の定める評価方法によっては適正な時価を適切に算定することができないなど,特別の事情がある場合には,他の合理的な方法によって評価することが許される」とし,本件においては,「近い将来発生することが予想される相続において,相続税の負担を減じ又は免れさせるものであることを知り,かつ,それを期待して」いたことを挙げ,不動産を時価評価で評価することが許されるとしました。

要するに,相続税の不動産の算定基準は「路線価」が原則ですが,適正な時価を算定することができない場合には,例外として時価によることも許されると示したものです。

ではどのような場合に例外として扱うことが許されるのでしょうか?

上記判決の事案を分析すると,相続の対象となる不動産の路線価と取引価額が大きく乖離していること,また,亡くなる2,3年前の相続開始間際での不動産の購入行為を挙げており,明らかな税金逃れであり,例外として扱うとしています。

もっとも,どのような場合に例外扱いをするのか明確な基準には欠けており,今後も同種事案での紛争は多くなることが見込まれます。

今後は,不動産を購入することで節税を検討する場合には,上記判決に留意する必要があります。

 

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