コラム一覧

遺言書の保管場所はどこがよいのか

コラム一覧

遺言書を作成すればご自身が亡くなった後の遺産の分け方を指定することができますし、それによって相続人同士のトラブルを予防することにも役立ちます。
遺言書にはいくつかの種類がありますが、その中でも自筆証書遺言には手軽に作成できて費用もかからないというメリットがあります。
ただ、自筆証書遺言を作成したのはいいものの、保管場所に頭を悩ませる方が多いものです。

1.遺言書を保管するときの注意点

作成した遺言書を見つかりやすいところに保管しておくと、生前のうちに家族などに中身を見られてしまい、破棄や改ざんをされるおそれがあります。
かといって、あまりにも発見困難なところに保管すると相続人が発見することができず、遺産分割にご自身の意思が反映されないことになりかねません。
遺言書を保管するには、生前には家族等に中身を見られることなく、ご自身が亡くなった後には確実に見つけてもらえるような保管場所を選ぶことが大切です。

2.遺言書の種類と保管場所

遺言書には次の3つの種類があります。

・公正証書遺言
・自筆証書遺言
・秘密証書遺言

公正証書遺言は公証役場で原本が保管されるので、保管場所に困ることはありません。それに対して、自筆証書遺言は自己責任で保管する必要があります。
秘密証書遺言も自己責任で保管する必要がありますが、秘密証書遺言を作成する人は少ないです。

3.よくある自筆証書遺言の保管場所

一般的に自筆証書遺言の保管場所として利用する方が多いのは、次のような場所です。

・机やタンスの引き出し
・自宅内の金庫
・仏壇
・銀行の貸金庫
・弁護士や司法書士などの事務所

どの場所も、生前に見つかりにくく亡くなった後に発見してもらいやすいというニーズの両方を満たしているとはいいがたいところです。
そのなかで、各自の状況に応じてできる限り最適な場所に保管しているのが実情だと思われます。

4.法務局の遺言書保管制度とは

このような悩みを解消するため、2020年7月から法務局で自筆証書遺言を保管できる制度が始まりました。
この制度を利用すれば、遺言書が厳重に保管される上に、本人の生前には他の人に中身を見られる心配がありません。
本人が亡くなったときに遺言書があることが相続人に通知される仕組みは、2021年以降に実施される予定です。それまでの間は、法務局へ遺言書を預けたことをどなたかに伝えておく必要があります。
なお、法務局へ保管の申請をするには、1件あたり3,900円の手数料がかかります。

5.検認手続きについて

本人が亡くなった後、相続人が自筆証書遺言を見つけたら、開封する前に家庭裁判所に提出して検認という手続きを受けなければなりません。
自筆証書遺言はその内容が公的に証明されたものでないため、破棄や改ざんを防止するためにまず家庭裁判所が内容や状態を確認する必要があるのです。
この手続きをしなくても遺言書として無効になるわけではありませんが、検認を受ける前に開封すると5万円以下の過料が科されることがあります。
公正証書遺言の場合は、公証人によって内容が証明されているため検認は不要です。自筆証書遺言の場合も、法務局の保管制度を利用した場合は検認が不要になります。
自筆証書遺言を作成する際は、形式上の細かなルールを守らなければ無効になってしまいます。内容面でもさまざまなことに注意しなければ、相続人同士のトラブルを招くことにもなりかねません。

弁護士法人ONEへご相談いただければ遺言書の作成を承りますし、保管上のアドバイスもいたします。
遺言書の作成をお考えの方はぜひ一度、ご相談ください。

相続・遺産問題のコラム一覧はこちら

相続問題の解決事例一覧はこちら