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過払い金とは?返還請求の方法と注意点
過払い金とは、借金を返済する際に、本来は支払う必要がないにもかかわらず支払っていたお金のことです。
長期間、借金の返済を続けている方は過払い金が発生している可能性があります。過払い金が発生している場合には、返還請求を行うことでお金を取り戻したり、現在の借金を減額させることが可能です。
1.過払い金が発生する仕組み
過払い金は、借入先に対して利息を支払い過ぎることで発生します。
借金の返済に適用される上限金利は、利息制限法で以下のとおり定められています。
・残高10万円未満…年20%
・残高10万円以上100万円未満…年18%
・残高100万円以上…年15%
しかし、以前は利息制限法の上限金利を超えても、出資法の上限金利である年29.2%以内であれば、貸金業者が請求しても罰則がありませんでした。そのため、多くの貸金業者が年29.2%、またはそれに近い高金利で貸付を行っていたのです。
例えば、50万円を借りて金利29.2%で返済していた場合、利息制限法の上限金利は18%ですから、その差11.2%に相当する利息は支払いすぎです。
このように、利息制限法の上限金利を超えるものの罰則のない高金利のことを「グレーゾーン金利」といいます。
2.過払い金返還請求が可能な条件
過払い金返還請求を行うことが可能なのは、次の3つの条件を全て満たす場合です。
①2007年頃以前から借入をしていたこと
②グレーゾーン金利で借入をしていたこと
②過払い金が時効にかかっていないこと
2010年6月以降は法改正により、出資法の上限金利も年20%に引き下げられ、グレーゾーン金利が存在しなくなりました。ただ、多くの貸金業者はそれに先立ち、2007年頃に自主的に貸出金利を利息制限法の上限金利内に引き下げています。したがって、2007年頃以降の取引からはほとんど過払い金が発生しなくなっています。
2007年頃以前でも、銀行や一部の消費者金融、カード会社は利息制限法の範囲内でのみ貸付を行っていました。グレーゾーン金利での取引がなければ、過払い金は発生していません。
また、クレジットカードのショッピング利用には利息制限法が適用されないため、過払い金返還請求の対象外となります。
そして、過払い金が発生していたとしても時効が成立している場合には、返還請求が認められません。
3.過払い金には時効がある
過払い金の返還請求権の時効期間は、最後の取引から10年です。完済してから10年以上が経過していると、過払い金があったとしても時効が成立しています。
ただし、完済後に再び同じ貸金業者から借り入れた場合は、完済前と完済後の取引が「一連」のものとみなされ、最後の完済から10年が経過していなければ過払い金返還請求が可能なこともあります。
取引が一連のものと認められるかどうかの判断は難しいことが多いので、弁護士にご相談の上で検討された方がよいでしょう。
4.過払い金返還請求の方法
過払い金返還請求が可能な条件を満たす場合、以下の手順で返還を求めていきます。
・取引履歴を取り寄せる
・全ての取引について利息引き直し計算を行う(過払い金の額を割り出す)
・「過払い金返還請求書」を借入先に送付する
・借入先と返還の額や時期を交渉する
・交渉がまとまらなければ裁判を起こす
ほとんどの貸金業者は交渉では返還額の減額を求めてくるので、全額を取り戻すためには裁判が必要となるのが実情です。
5.過払い金返還請求をする際の注意点
近年は貸金業者の経営状態が悪化し、倒産しているところも少なくありません。相手方が倒産してしまえば、過払い金を取り戻せないこともあります。過払い金返還請求をするなら、相手が倒産しないうちに早めに手続きを行うことも重要です。
それと、現在も返済中で、過払い金を元本に充当しても借金が残る場合には、ブラックリストに登録されてしまうことにも注意が必要です。既に完済している場合には、このような心配はありません。
弁護士法人ONEにご相談いただければ、過払い金が発生しているか調査することもできます。
2007年頃以前から借金をしていた方は、時効や業者の倒産の問題もありますので、早めにご相談いただくことをおすすめします。