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公正証書遺言を作成するメリットとデメリット
遺言書を作成しておけば、相続トラブルの防止に役立つほか、誰にどの財産を渡すかを指定できるなど、さまざまなメリットが得られます。
公正証書遺言は3種類ある遺言書の中で最もメリットが多いものですが、その反面でデメリットもありますので、事前に確認しておましょう。
1.公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証人に遺言内容を伝えて、公正証書として遺言書を作成してもらう遺言方式のことです。
公正証書は私文書よりも証明力が高い公文書なので、法的紛争の予防や解決のために重要な役割を果たします。
遺言書には「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」という方式もありますが、この2つの遺言書はどちらも私文書として扱われます。
2.公正証書遺言のメリット
公正証書遺言を作成するメリットとして、以下の5点が挙げられます。
(1)確実に有効な遺言書を作成できる
公正証書遺言は公証人という専門家が作成するため、確実に有効な遺言書が作成されます。
遺言書を作成する際に守らなければならないルールは法律で細かく定められているため、自筆証書遺言や秘密証書遺言では、形式の不備で無効となってしまうケースが多いのが地上です。しかし、公正証書遺言ではその心配がないのです。
(2)文字が書けなくても遺言書を作成できる
文字が書けなくても、公証人に対して口頭で遺言内容を伝えることができれば、公正証書遺言は作成できます。
それに対して自筆証書遺言の場合は、財産目録を除いて遺言者本人が自筆しなければなりません。
(3)保管場所に困らない
公正証書を作成すれば、原則として20年間、公証役場に原本が保管されます。
そのため、自筆証書遺言の場合のように、どこに遺言書を保管するかという問題で頭を悩ませる必要がありません。
(4)偽造や紛失を防止できる
自筆証書遺言を自宅に保管していると、家族に見つかって偽造や変造をされる恐れがあります。かといって見つからない場所に保管すると紛失したり、本人が亡くなっても相続人に見つけてもらえない可能性もあります。
公正証書遺言なら公証役場に保管されるので、このような心配がありません。
(5)検認手続きが不要となる
自筆証書遺言の場合は、相続手続きを始める前に家庭裁判所で検認という手続きを受けなければなりません。
それに対して公正証書遺言は公文書なので検認が不要であり、すぐに相続手続きを始めることができます。
3.公正証書遺言のデメリット
公正証書遺言には以下のデメリットもあるので、注意が必要です。
(1)手間がかかる
公正証書遺言を作成するには、証人2人を探し、証人と一緒に公証役場へ出頭する必要があります。自筆証書遺言の場合よりも多くの手間がかかります。
(2)費用がかかる
公正証書を作成するためには、公証人の手数料などの費用がかかります。金額は公正証書に記載する財産価額に応じて異なりますが、多くの場合で数万円が必要です。
(3)公証人や証人に遺言内容が知られる
公証役場で遺言内容を伝える際には、証人2人も立ち会います。公証人は守秘義務を厳守しますが、証人を一般の方に依頼した場合には秘密が漏れないとも限りません。
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合のように、誰にも知られずに遺言書を残すことはできないのです。
(4)遺言内容は自分で考える必要がある
公証人は中立・公正な立場であるため、遺言の内容が相続トラブルの防止に役立つかどうかといった内容に関するアドバイスはしてくれません。あくまでも、遺言内容は自分で考える必要があります。
以上のデメリットを回避するためには、弁護士に遺言書作成を依頼するのがおすすめです。弁護士は、望ましい遺言内容の検討から証人の確保、公証役場における手続きの手配まで、全面的にサポートいたします。
遺言書の作成をお考えの方は、ぜひ一度、下関・宇部・周南・岩国の弁護士法人ONEまでご相談ください。