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遺産分割に期限はある? 長期間放置するデメリットと注意点
身内の方が亡くなった後、相続人同士で意見が対立して遺産分割が進まないケースは珍しくありません。
手続きが面倒だという理由で、遺産分割を行っていないケースもよくあります。
そんな方々の中には、遺産分割に期限があるのかどうかが気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
1.遺産分割協議に期限はない
遺産分割そのものに法律上の期限はありません。
相続開始からどれだけの期間が経過しても、相続人同士で協議をして遺産分割をすることが可能です。
ただし、遺産分割をしないまま長期間が経過すると、以下のようなデメリットが生じるおそれがあります。
2.遺産分割を放置するデメリット
遺産分割を放置するとこで生じる主なデメリットは以下のとおりです。
(1)名義変更ができない
遺産の名義を変更するためには、遺言書または遺産分割協議書が必要です。遺言書がない場合には、遺産分割協議が成立するまで遺産の名義変更ができません。
実態的には、すべての遺産が相続人全員の共有状態のままで放置されることになります。
(2)相続関係が複雑になる
長期間が経過する間に相続人の誰かが亡くなることもあるでしょう。その方にも相続人がいると、最初の相続に関する遺産分割協議に参加すべき人数が増えてしまいます。
こうなると、遺産分割協議の手間が増えるだけでなく、意見が対立する可能性も高まるでしょう。遺産の名義変更手続きも複雑となってしまいます。
(3)時効で遺産を失うことがある
預金の払戻請求権や株主としての権利などは、5年または10年で消滅時効にかかります。
また、第三者が遺産を占有している場合には、10年または20年で取得時効が完成します。
つまり、遺産を長年放置していると時効によって失ってしまう可能性があるということです。
(4)勝手に遺産を売却されることもある
他の相続人が持ち分を売却すると、その遺産は第三者との共有となってしまいます。他の相続人の債権者が持ち分を差し押さえた場合も同様です。
このような場合には、その持ち分を買い取るか、その遺産全体を処分する必要性が出てくるでしょう。
(5)相続税で不公平が生じる
相続税が発生する場合には、相続開始の翌日から10ヶ月以内に申告と納税をしなければなりません。
遺産分割が未了でも、法定相続分どおりに相続したものと仮定して申告・納税ができますが、それでは相続人間で不公平となる可能性もあるでしょう。
3.法改正で今後に生じるデメリット
さらに、法改正によるリスクも考慮しておく必要があります。
(1)寄与分や特別受益の主張ができなくなる
寄与分とは、被相続人の財産の形成・維持に貢献した相続人の相続分を多くできる制度です。
特別受益とは、被相続人の生前に財産を受け取っていた人の相続分を少なくできる制度です。
2023年4月以降は改正民法の施行により、寄与分と特別受益を主張できるのは原則として相続開始から10年以内に制限されます。
これにより、公平に遺産を分割することが難しくなる可能性があります。
(2)相続登記が義務化される
2024年4月以降は改正不動産登記法の施行により、不動産を相続した場合には3年以内に名義変更登記をすることが義務付けられます。
違反した場合には罰則が適用されることもあります。
この規定は改正法が施行される時点で名義変更登記が未了の相続不動産にも適用されるので、注意が必要です。
4.遺産分割を速やかに行うためには
相続人同士で意見が対立する場合には、遺産分割調停や審判を申し立てた方が早く解決できる可能性があります。
ただ、家庭裁判所の手続きにはそれなりの期間を要しますので、その前に一度、弁護士を間に入れて話し合ってみるのがおすすめです。
専門的な立場から交渉することで、遺産分割協議がスムーズに成立することも期待できます。
相続問題でお困りの方は、下関、宇部、周南、岩国の弁護士法人ONEへぜひご相談ください。