示談までの流れ
1. 交通事故発生
事故により怪我をしている場合は、警察への事故報告が 「人身事故」として処理されているかを必ず確認してください。
事故直後に怪我が見つからないと思っていても、後日身体に症状が現れる場合があるため、ひいては後遺障害として残ってしまう可能性もあります。
警察への届け出が「物件事故」扱いとなっている場合は、医師の診断書をもって警察へ行き、「人身事故」に切り替えてもらう必要があります。
交通事故による切り替えの手続は、早いほうがベストです。一般的に、警察は物損から人損への切り替えについては事故から時間が経過していると嫌がる傾向にありますが、切り替えが許されないものではありません。
交通事故が物件事故のままですと、治療費などが保険会社から支払われない可能性もあります。ご自身の交通事故が、どのような扱いとなっているかを「交通事故証明書」で確認しておきましょう。
ぜひ、この早目の段階で弁護士にご相談ください。
2. 治療(通院・入院)
治療中は主治医に自分の症状をはっきりと明確に伝え、治療に必要な検査も行い、その証拠を残しておくことがポイントです。
交通事故における後遺障害の等級認定は、単純に症状固定時の状態のみが判断材料となるわけではありません。交通事故直後の医師の診断や怪我の症状、その後の治療経過などの資料も重要な後遺障害の等級認定の判断材料となります。
治療中に、治療後を見据えた対応が必要であることから、後遺障害の等級認定は「治療中から始まっている」といっても過言ではありません。
外科や整形外科などの病院にきちんと通院しましょう。
交通事故における後遺障害の等級認定においては、十分な怪我の治療が行われたにもかかわらず、症状が残ってしまったことを医師が作成した書面で説明する必要があります。
そのため、整骨院や接骨院に通院して治療を受ける場合でも後々のことを考え、定期的に外科などの病院でも医師の診察を受けるのも良いと思います。
当事務所にご相談いただいた方の多くが、お怪我の治療中からのご相談です。
経験ある弁護士からの適切な助言と適切な手続きのため、交通事故から5〜6カ月以内を目安に、早め早めのご相談をおすすめしています。
弁護士に依頼するメリット
治療に専念できます。
弁護士が加害者側の保険会社と代理交渉し、治療費の支払いを治療が終了するまで継続させるように求めます。
治療の過程や内容は「後遺障害等級認定」に大きく影響を及ぼしますので、のちに不利な状態にならないよう弁護士による適切なアドバイスを受けることができます。
弁護士に依頼しないリスク
治療費の支払いを打ち切られてしまう可能性が高くなります。
交通事故から3カ月程度で加害者側保険会社から治療費の支払いを打ち切られる可能性があります。
治療の過程や内容に問題があり、加害者側保険会社が提示する賠償金額が低くなってしまう場合があります。
治療の段階で、ぜひ弁護士にご相談ください。
3. 症状固定
症状固定の時期は、主治医に慎重に判断してもらうことが重要です。
また、治療中に保険会社から治療費打ち切りの要請があった場合は、慎重に対応することが大切です。
交通事故における怪我の治療状況によって完治すれば、それがもっとも望ましいのですが、いくら治療を続けても痛みがそれほど変わらないなど、治療の効果が感じられなくなってしまう場合があります。このような状態を「症状固定」と言います。
症状固定になると、それ以降に発生した怪我の治療費や通院交通費などは原則として請求できなくなります。多くのケースは加害者側の保険会社から早期に症状固定や治療費の支払いの打ち切りがされることがあります。これは、加害者側の治療費の負担を軽減させることを目的としている場合があります。
しかし、まだ治療効果のあるうちは無理に治療をやめる必要はありません。症状固定の時期は、主治医が医学的に判断するものですので、主治医とよく相談し、慎重に判断してもらうことが重要です。
4. 後遺障害の等級認定
1. 後遺障害診断書の作成
診断書を記載漏れや不備がないよう正確に作成してもらう必要があります。
後遺障害の等級認定は、主治医に作成してもらう「後遺障害診断書」を主な判断材料とされています。そのため、この後遺障害診断書にすべての症状が具体的に記載されているか否かが、非常に重要です。
記載漏れや曖昧な表現で記載されていたために、不本意なことに後遺障害の認定結果がなされてしまうことも少なくありません。
後遺障害の等級認定に必要となる検査を受けます。
交通事故における怪我の治療に必要な検査と後遺障害の等級認定に必要な検査は異なります。後遺障害の等級認定には専用の検査が必要となります。
また、残っている怪我の症状が後遺障害診断書に記載されていたとしても、後遺障害の等級認定のために必要な検査資料が添付されていなければ、後遺障害を認定してもらうことは非常に困難となります。
2. 後遺障害の等級認定申請
「後遺症」と「後遺障害」には違いがあります。
症状固定後に残ってしまった怪我の症状や痛みを一般的に「後遺症」と言われますが、後遺症について損害賠償請求を行うためには、後遺障害の等級認定を受ける必要があります。
等級認定がなされない後遺症については、原則的に慰謝料などの請求は困難となります。
等級認定の手続には「事前認定」と「被害者請求」の2つの手続があります。
後遺障害の等級認定の申請方法とは、交通事故加害者の保険会社に任せて手続を進めてもらう「事前認定」と、交通事故被害者自身(代理人の弁護士含む)が行う「被害者請求」があります。
「事前認定」は保険会社を通じて行いますので被害者の方の手間がかからず、認定結果が出るまでの期間が一般的に短いというメリットがあります。この場合、提出する資料を被害者の方や弁護士がチェックすることはできません。
被害者にとって有利な証拠が申請の際に提出されず、本来相応しい等級よりも不当に低い認定結果となってしまうおそれもあります。
「被害者請求」は被害者の方が資料を収集・提出するなどの負担もありますが、提出する資料を被害者自身や弁護士がチェックできるなどのメリットがあります。
弁護士に依頼した場合は、希望があれば後遺障害の認定が適切になされるような資料や書類を揃えて、等級認定の申請を行います。
3. 認定機関による審査と等級の認定
後遺障害の各等級の認定や非該当の判断は、損害保険料率算出機構の内部組織である自賠責損害調査事務所が行います。
原則的に書面審査による判断となりますので、後遺障害診断書の記載が曖昧であったり、認定に必要な検査結果の資料が揃えられていない場合は、適切な認定がなされません。
適切な認定を得るためには、各等級の認定の具体的な審査基準を踏まえた上で、適切な書面と資料を提出する必須となります。
4. 異議申立(非該当や認定等級に不満がある場合)
認定結果の誤りの箇所を指摘し、それを裏付ける医学的資料の提出が必要です。
等級認定に該当しなかった場合(非該当)や認定された等級に不満がある場合には、異議申立により覆すことができる可能性があります。
とはいえ、当初の認定を覆すためには、認定の誤り箇所を具体的に指摘し、それを裏付ける医学的な資料を提出を行わないと、結局は同じ判断がなされてしまう可能性が高いです。
弁護士に依頼するメリット
後遺障害認定に向けたアドバイスが得られます。
弁護士が後遺障害等級認定で不利にならないよう治療方法や後遺障害診断書等の作成方法をアドバイスいたします。
より適正な後遺障害等級認定を獲得する可能性が高くなります。
弁護士に依頼しないリスク
後遺障害認定を獲得できない可能性があります。
治療方法や後遺障害診断書の記載内容などの不備が問題となったり、有利な資料が提出されないことで、適正な後遺障害等級認定を獲得できない可能性があります。
異議を申し立てる時点で、弁護士にご相談ください。
5. 示談交渉
示談はやり直しが不可能。必ず事前に弁護士に相談を!
保険会社から示談金として賠償額が提示された場合、事前に一度弁護士に相談し、チェックしてもらうことをおすすめします。
示談をしてしまうと、特別な事情がない限りやり直すことはできません。
保険会社は、裁判所が認めている金額よりも、ほとんどの場合はるかに低い金額を提示してきますので、それが適正な金額かどうかは慎重に判断する必要があります。
弁護士が示談交渉を行うことで賠償金の増額の可能性が期待できます。
保険会社は、認定された等級に基づく賠償金を、各保険会社が定めている自社の支払基準に沿った低い金額で提示してくることが一般的です。
そしてその場合弁護士は、裁判所が認めている高い支払基準に基づいて示談交渉を行いますので、賠償金の増額の可能性があります。
弁護士に依頼するメリット
裁判基準による示談交渉を行います。
加害者側保険会社が提示する賠償金は、保険会社独自の計算基準で算出したもので、裁判所が認めている裁判基準により算出した賠償金よりも低いことがよくあります。
弁護士はこの裁判基準により適正な賠償額を計算し、適正に示談交渉を行いますので、裁判基準で計算した金額に近い賠償金を獲得することができます。
弁護士に依頼しないリスク
不適正な低い賠償金を提示される可能性があります。
加害者側保険会社の賠償金提示を待った結果、適正な賠償金額(裁判基準で計算した賠償金額)より低い賠償金の提示しか受けられない事態に陥って可能性が高くなります。
示談交渉は弁護士へのご相談のデッドラインですので、必ず弁護士にご連絡ください!