死亡事故の損害賠償

1. 大切な方をなくされたご遺族の方

不幸にも大切な家族が突然、交通事故に遭い亡くなってしまったとき、ご遺族の方は事故の報せを受けパニックになられると思います。
しかし、直後から葬儀の準備、各種の手続、亡くなられた被害者に代わって加害者加入の保険会社との交渉をしなければなりません。
そこで、弁護士法人ONEでは、法律的な問題に限定することなく、総合的な支援を行います。

2. 生活費や葬儀費用に困った場合

(1)はじめに

家族が交通事故で亡くなられてしまった場合、まず最初に起きる問題として、生活費や葬儀費用など急に必要となるお金の準備ではないでしょうか。
以下の方法により解決することができますので、説明します。

(2)仮払金の請求

仮払金とは、加害者側と示談をする前に、加害者に賠償義務が認められるであろう範囲で、加害者加入の保険会社に賠償金の前払いを求めるものです。
被害者に大きな過失割合が認められそうである場合には、支払いを拒否されることあり得ます。
そこで、必要としている費用の内容や金額について説明するなどの交渉する必要があります。

(3)自賠責保険への請求

加害者加入の保険会社(任意保険会社)が交渉によっても損害金の前払い(仮払金)に応じない場合、自賠責保険への請求をすることが考えられます。
自賠責保険は被害者救済を目的とする強制加入保険です。任意保険会社が支払に応じない場合に、被害者側は、直接、自賠責保険へ賠償金額の支払を請求することができます。

ここで、自賠責保険へ請求する方法としては2つの方法があります。

ア 本請求

3,000万円の範囲内で支払がされます。

イ 仮渡金の請求(「仮払金」とは異なります)

本請求の場合、まとまったお金の支払いがされますが、要求される必要書類が多く、必要書類の準備や自賠責保険の調査が行われるため、入金までに一定の時間を要します。数カ月かかることもあります。
このような場合に仮渡金の請求をすると、さしあたりの費用として290万円の支払が本請求を行うよりも迅速になされます。

(4)弁護士の必要性

このような手続の中で、仮払金の請求は遺族が保険会社と話し合うことで賠償金の前払いを受けることも可能でしょう。
しかし、仮払いを拒否された場合や自賠責保険へ本請求や仮渡金の請求をする場合には、戸籍等の必要書類を収集し自賠責保険へ送付する手続などは専門性が要求されてきます。たとえば、加害者が加入する自賠責保険を調査した上で、自賠責保険の事務所住所へ送付をすることは慣れていればともかく、初めて手続を利用する方にとっては容易ではないでしょう。
弁護士に相談することで、迅速に仮払い、仮渡金の請求などを行うことができます。

3. 賠償金に関すること

(1)はじめに

ご遺族は被害者の葬儀を行わなければならないため、葬儀社との葬儀の打ち合わせや親族・知人・関係者への連絡などの対応により、事故直後の多くの時間を葬儀の準備に費やすことは避けられません。
そんな最中に保険会社から連絡が届き、賠償の話し合いが始まります。そのようなときのために、賠償に関する知識を以下に簡単にまとめましたので、参考にしてください。

(2)加害者に賠償の請求をすることができる相続人とは

相続人は民法第887条以下に定められています。
 ・父(母)が死亡した場合 → 母(父)と子
 ・子が死亡した場合 → 父母
 ・子が死亡し、父母も死亡している場合 → 兄弟姉妹、などです。

(3)請求する内容について

※以下につき、参考文献 『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』

ア 死亡慰謝料

以下の金額は、参考金額になります。増減することもありますので注意してください。
 ・被害者が一家の支柱であった場合:約2,800万円
 ・被害者が母、配偶者であった場合:約2,500万円
 ・被害者が独身の男女、子供、幼児等であった場合:約2,000万円~約2,500万円

イ 死亡逸失利益

事故当時の収入-(1-生活費控除率)×就労可能年数のライプニッツ係数

■ 例

・家族構成:被害者の年齢50歳、一家の支柱。被扶養者として妻と子1人がいる。
・生活費控除率:生活費控除率を30%と想定する。
・基礎収入:年収600万円
・就労可能期間 就労可能年67までの17年間

年収600万円 -(1-生活費0.3)×14.6430=5,125万500円

ウ 葬儀費用

加害者から賠償を受けることができる葬儀費用の金額は原則として約150万円です。この金額についても具体的事情により増減が予定されています。
150万円を下回る場合には実際に支出した金額が認定される傾向にあり、香典返しにかかった費用は損害として裁判所に認めてもらうことは困難です。

4. 死亡事故で争点となりやすい問題

(1)過失割合

被害者が亡くなられたとしても被害者の過失が加害者の過失よりも大きく認定されることはあります。例えば、被害者が赤信号を無視していたときなどです。
その場合には、例えば被害者70%:加害者30%の過失割合の事故であれば、被害者が加害者から賠償される賠償金の70%分が減額されてしまい、30%分の金額しか受け取れないことになります。
したがって、過失割合は被害者側にとって大きな争点となります。

(2)死亡慰謝料の金額

死亡慰謝料は、上記のとおり、一定の目安とされる金額があります。しかし、加害者がひき逃げをしたり、酒酔い運転をしていたり、未来のある子供が被害者であったりと種々の事情から慰謝料の金額が増減されるため、交渉や裁判では大きく争われることがあります。

(3)死亡逸失利益の金額(特に、年少者や高齢者のケース)

就労をして安定した収入を得られていた方が被害者であったケースでは、収入に関して争いになることはとりわけ少ないと考えられます。
しかし、年少者のような将来どのような職につくのか不明なまま亡くなってしまい年少者が将来どれだけの収入を得られる見込みであったのかということはわかりません。
賃金センサスという指針はあるものの、やはりご遺族と加害者の間に大きく争われる点になります。

(4)葬儀費用は適正な金額か

加害者へ賠償請求することができる葬儀費用は、社会的にみて相当な範囲内の金額のみです。上で述べたとおり、150万円前後であれば争いになることはすくないと思います。
150万円を超える葬儀費用が認められないというわけではありませんが、あまりに高額な葬儀費用を支出していた場合、葬儀の準備をしていたときには保険会社から支払ってもらえると思っていたのにもかかわらず、いざ賠償を受けるとなった段階で保険会社から支出した葬儀費用の全額について賠償を受けることができないという可能性もあります。
このような事態を避けるため、事前に保険会社と話し合いをし葬儀費用の金額について打ち合わせをしておくことが大事になります。

5. 弁護士法人ONEのサポート

(1)仮払金、仮渡金の請求手続

急な出費に悩んだ場合には、手続のための資料収集から請求手続まで弁護士がサポートさせていただきます。

(2)交渉の代理

仮払金を保険会社に請求するには、保険会社との話し合いが必要になりますし、葬儀費用の事前の話し合いなども同様です。弁護士へ依頼をしていただければ、代理人として弁護士が代わりに保険会社と連絡を取り合い、交渉を行います。
弁護士へ依頼した場合には、原則として保険会社から遺族へ直接連絡することはありません。すべて弁護士を通じて連絡を取り合うことになります。

(3)刑事裁判への被害者参加

加害者は、過失運転致死罪、危険運転致死罪等により刑事責任を負うことがあります。その場合には、加害者は検察官から起訴され、裁判所で刑事裁判を受けることになります。
遺族の気持ちを少しでも刑事裁判へ反映させるべく、被害者が刑事裁判に参加する制度が用意されています。それが被害者参加制度(刑事訴訟法316条の33以下)です。

遺族が法廷に立ち、遺族の悲しみや加害者に対する気持ちを話すことができ、加害者の刑罰の軽重を決定する際の資料として用いられることがあります。遺族が加害者に対して直接質問をすることもできます。
弁護士が、遺族の代わりに加害者へ質問をしたり、手紙を代読するなどのサポートができます。

遺族は、事故により精神的、肉体的に大きな負担を抱えることになるでしょう。そこで、弁護士法人ONEでは、被害者のため、遺族のため、負担をできる限り軽くするために法律的な問題はもちろん、それ以外の問題についても、相談ができるようにしています。
また、一つひとつの悩みに対して最善となる解決案を提示することで、弁護士法人ONEでは問題を解決するためのサポ-トを全力で行います。