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後遺障害等級3級の症状と慰謝料

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(1)後遺障害等級3級とは

後遺障害等級3級は、眼や口や手指、脳や神経などに著しい障害を持ち、仕事や学業、家事労働などの社会生活が困難になりうる後遺障害です。自力での日常生活(食事やトイレなど)が可能とされていますが、1級・2級と同じく労働能力喪失率が100%となり社会復帰は望めません。3級に該当する後遺障害が残存した場合は、適切な後遺障害等級認定を受け、今後の生活を支えるだけの十分な賠償金を受け取ることが重要です。

(2)後遺障害等級3級の表と解説

後遺障害等級3級は、下記の5つの症状(1号〜5号)を指します。
慰謝料については、表内の自賠責基準(最低保証金額)、任意保険基準(保険会社が提示する金額)、弁護士基準(被害者が本来受け取るべき適切な金額)をご参照ください。

等級 後遺障害 自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準(赤い本) 労働能力喪失率
第3級 1号・一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの 861万円 1100万円
※それぞれ独自に決定するため、あくまで目安
1990万円
※2021年民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準参照
100%
2号・咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3号・神経系統の機能又は神経に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4号・胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5号・両手の手指の全部を失ったもの
1号:片眼を失明し、失明していない眼の視力も0.06以下になった状態
失明とは眼球を摘出(亡失)した状態、明暗がわからない状態、明暗が辛うじてわかる状態のことです。
明暗が辛うじて分かる状態とは、暗室のなかで照明を目の前で点滅させ明暗を判別できる(光覚弁=光の感覚がわかる)場合と、目の前で手のひらを上下左右に動かしてその動きの方向が分かる(手動弁=手の動きがわかる)場合をいいます。
また測定する視力は、メガネやコンタクトレンズを着用したときの矯正視力です。

両方の眼を失明または、両眼が矯正視力で0.01未満の場合は、1級の1号となります。

2号:咀嚼機能と言語機能のどちらかが失われた状態
咀嚼機能を廃するとは、経口的に食物などを摂取することができず、チューブで口や鼻や胃に流動食を注入して栄養補給することです。
口の中のものを飲み込む嚥下(えんげ)能力の機能を失った場合も、この3級2号に該当します。

言語機能を廃するとは、子音を構成する4種の語音のうち、3種類以上の発音ができないことです。

4種の語音とは
・口唇音(ま行・ぱ行・ば行・わ行の音および「ふ」)
・歯舌音(な行・た行・だ行・ら行・さ行・ざ行の音および「しゅ」「し」「じゅ」)
・口蓋音(か行・が行・や行の音および「ひ」「にゅ」「ぎゅ」「ん」)
・喉頭音(は行の音)
のことをいいます。

咀嚼機能と言語機能との両方の機能を失った場合は1級2号に該当します。

3号:神経系統の機能または神経に著しい障害が残り、終身労務に服することができない状態
脳や脊髄損傷で神経系統の働きや精神に著しい障害を残し、自力での日常生活は可能であるものの、終身労務に服することが不可能なものをいいます。
中枢神経系(脳)の障害 高次脳機能障害、脊髄の障害、末梢神経麻痺、外傷性てんかんなどの症状が該当します。
4号:胸部・腹部の臓器に著しい障害を残し、終身労務に服することができない状態
呼吸器、循環器、腹部臓器、泌尿器、生殖器の障害が該当します。
認定には他覚的に証明できる変化が認められ、かつその機能にも障害が証明される必要があります。
食事やトイレ、自宅周辺の歩行程度ができるのが3級4号で、常に介護が必要になれば1級2号(別表第1)、随時介護が必要になれば2級2号(別表第1)となります。
5号:両手の全ての指を失った状態
全ての指を失うというのは、親指については第1関節から手の甲までの間、それ以外の指は第2関節から手の甲までの間で切断してしまった状態です。
根本から失われることが条件ではありません。

(3)辛い事故から早く立ち直るためにも、弁護士相談へ

本ページでは1級、2級に準じて重い障害が残る後遺障害等級3級を解説しました。神経や内臓の負傷は、他の後遺障害よりも認定が難しいと言われています。
冒頭でも申し上げましたが、後遺障害を正しく理解して正当な賠償金をもらうことが、ご自身や家族を守り、事故から立ち直るために重要な一歩となります。
適切な後遺障害等級認定及び賠償金額の獲得には、ぜひ後遺障害を得意とし、医療知識も豊富な弁護士にご相談下さい。