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後遺障害等級4級の症状と慰謝料
(1)後遺障害等級4級とは
後遺障害等級4級は、眼や口や耳、そして両手足の障害で労働能力をほとんど失う重い後遺障害です。4級に該当する症状で認定されるよりも、5級などの後遺障害が併合(※)して4級になるというケースが多いと言われています。後遺障害を抱えたその後の生活を支える適切な賠償金額を獲得するためには、後遺障害の症状や慰謝料額をよく理解することが重要です。
(※併合のコラムへのリンク https://bengoshi-one.com/koutsujiko/columns/heigou/)
(2)表と解説
後遺障害等級4級は、下記の7つの症状(1号〜7号)を指します。
慰謝料については、表内の自賠責基準(最低保証金額)、任意保険基準(保険会社が提示する金額)、弁護士基準(被害者が本来受け取るべき適切な金額)をご参照ください。
等級 | 後遺障害 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準(赤い本) | 労働能力喪失率 |
---|---|---|---|---|---|
4級 | 1号・両眼の視力が0.06以下になったもの | 737万円 | 900万円 ※それぞれ独自に決定するため、あくまで目安 |
1670万円 ※2021年民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準参照 |
92% |
2号・咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの | |||||
3号・両耳の聴力を全く失ったもの | |||||
4号・一上肢をひじ関節以上で失ったもの | |||||
5号・一下肢をひざ関節以上で失ったもの | |||||
6号・両手の手指の全部の用を廃したもの | |||||
7号・両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
矯正視力とは、裸眼ではなくメガネやコンタクトレンズを着用したときの視力のことです。
視力0.06とは、5メートル視力検査表の一番大きなランドルト環(Cの形をした記号)の切れ目が3メートルまで近づいた際にようやく判別できる視力をいいます。
著しい障害とは、粥食またはこれに準じる程度の飲食物以外は摂取できないことをいいます。
咀嚼とは口に入れたものを噛むことで、少し噛む力が残っていても経口では十分に栄養が摂取できず、チューブを通す流動食を併用する場合や、摂取方法がゼラチンや寒天といった半固形物に限られる場合も、4級2号に該当します。
噛む力が全く無くなり流動食以外は摂取できない場合は、2級2号や3級2号の要件に該当します。
聴力を失うとは、純音聴力検査(一般の聴力検査でも使用するヘッドホンをつけて音を聞き取る機械)の数値において、両耳の平均純音聴力レベルが90dB 以上のもの、または両耳の平均純音聴力レベルが80dB 以上かつ最高語音明瞭度が30%以下のものをいいます。
純音聴力の指標は、20デシベル以内ならほぼ正常、30~40デシベルなら軽度難聴(小さな声が聴きにくい)、60デシベルなら中等度難聴(日常会話に支障あり)、80~90デシベルなら高度難聴(日常会話ほぼ聞こえない)となります。
最高語音明瞭度とは、音の大きさに関係なく言葉を聞き取る能力のことです。
聴覚のみで会話を容易に理解できるのが100%で、30%以下では聴覚のみで会話を理解するのが難しく、筆談や読話(口の動きや表情で予測すること)と高い集中力が必要になります。
肩関節から肘関節にかけて切断や離断(骨同士が切り離されること)したものをいいます。
両方の上肢を失った場合は1級4号に該当します。
股関節から膝関節にかけて切断や離断したものをいいます。
両方の下肢を失った場合は1級5号に該当します。
手指の末節骨の半分以上を失い、または中手指関節もしくは近位指節間関節(親指は指節間関節)に著しい運動障害(硬直)を残したものをいいます。
リスフラン関節とは、足の甲あたりにある関節で、足根中足関節とも呼ばれます。
つまり足の甲の中心辺りから踵までの間で切断したものが7号の症状です。
片足の場合は7級8号に該当します。
(3)弁護士相談で適切な慰謝料を獲得しましょう
本ページでは後遺障害等級4級を説明しました。表のなかの弁護士基準は1670万円と説明しましたが、あくまでも相場の金額となります。
被害にあわれた方のご状況に応じて、過去の判例などを参照し、より高額な慰謝料を獲得できる場合もあるからです。
不当に低い慰謝料を受け取ってしまうことを防ぐことはもちろん、適切な慰謝料を受け取るためにも、事故後は早い段階での弁護士相談をおすすめします。