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後遺障害等級14級の症状と慰謝料

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1.後遺障害等級14級とは

後遺障害等級14級は、後遺障害等級のなかでもっとも軽い等級です。認定件数も後遺障害のなかで1番に多く、2020年度は全体の半分以上を占める28593件でした。しかし該当するような障害が残存しているからといって思うように認定されるわけではないので注意が必要です。交通事故後に後遺障害等級認定を受けて適切な賠償金額を受け取るためには、症状や賠償額を把握しておくことが肝要となります。

2.後遺障害等級14級の表と解説

後遺障害等級14級は、下記の9つの症状(1号〜9号)を指します。
慰謝料については、表内の自賠責基準(最低保証金額)、任意保険基準(保険会社が提示する金額)、弁護士基準(被害者が本来受け取るべき適切な金額)をご参照ください。

等級 後遺障害 自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準 労働能力喪失率
14級 1号
一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
32万円 40万円
※それぞれ独自に決定するため、あくまで目安
110万円
※2021年民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準参照
5%
2号
三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3号
一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4号
上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5号
下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6号
一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
7号
一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8号
一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
9号
局部に神経症状を残すもの
1号:片方の眼のまぶたの一部に欠損を残し、またはまつげはげを残すもの。
まぶたの一部の欠損とは、まぶたを閉じたとき、まぶたが角膜(黒目の部分)は覆えるものの、球結膜(白目の部分)が覆えずに露出してしまう状態をいいます。
まつげはげを残すとは、まぶたで眼球全体を覆えるが、まつげの半分以上が生えてこなくなる状態を言います。

両方の眼に障害が残った場合は13級4号に該当します。

2号:合計3本以上の歯に対して歯科補綴(しかほてつ)を加えた状態
歯科補綴(しかほてつ)とは、失われた歯や欠損した歯に対して、義歯の装着、ブリッジ治療・インプラント治療などで歯を補う処置のことをいいます。

歯の後遺障害は歯科専用の後遺障害診断書を作成する必要があります。
また事故以前の虫歯による歯科補綴が後遺障害等級に影響を与えるなど認定条件が複雑となっているので注意が必要です。

3号:片方の耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になった状態
具体的には、片耳の平均純音聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満の状態をいいます。

聴力レベルの指標は、20デシベル以内であればほぼ正常、30~40デシベルであれば軽度難聴(小さな声が聴きとれにくい)、60デシベルであれば中等度難聴(日常会話に支障あり)、80~90デシベルであれば高度難聴(日常会話がほぼ聞こえない)となります。

両耳に障害が残った場合は11級5号に該当します。

4号:腕の露出面に手のひら大の醜いあとが残った状態
腕の露出面とは、肩の付け根から指先までのことをいいます。
手のひら大の醜いあと(醜状痕)で、複数の傷あとが残った場合には、それらの面積を合計して評価します。
5号:足の露出面に手のひら大の醜いあとが残った状態
足の露出面とは、大腿部(太もも)から足背部(足の甲)までのことをいいます。
6号:片方の手の親指以外の指の骨の一部を失った状態
手の人差し指・中指・薬指・小指のいずれかの骨の一部を失い、それがエックス線写真などで確認できる状態をいいます。
折れた骨がくっつかず、指の中に残る(遊離骨片)も含まれます。
7号:片方の手の親指以外の指の遠位指節間関節を曲げ伸ばしすることができなくなった状態
遠位指節間関節(えんいしせつかんかんせつ)とは、指の第一関節をさします。
関節が癒着し、動かない場合や筋肉の損傷により曲げ伸ばしなどが出来なくなる場合をいいます。
8号:片方の足の中指・薬指・小指のうち1本または2本の機能を失った状態
足の第一関節と第二関節の間の骨、または第二関節と第三関節の間の骨が切断された状態、第一関節又は第二関節で足の指が切断された状態、第二関節または第三関節の可動域が半分以下に制限された状態のいずれかをいいます。
9号:体の一部に神経症状が残った状態
神経症状とは、中枢神経や末梢神経などの障害により、麻痺や痛み・しびれなどの自覚症状が残った状態で、「むちうち」で後遺障害が認定される場合が当てはまります。
一般的に後遺障害が認定されるには、エックス線写真などで客観的に症状を証明する必要があります。しかし、むちうちの場合は自覚症状しかない場合も多く、後遺障害が認定されないこともあります。しかし、自覚症状のみでもケガの状況や治療の経過、神経学的検査で後遺障害が認定される可能性があります。

3.後遺障害は交通事故弁護士にご相談ください

本項では後遺障害等級14級について解説しました。交通事故でもっとも多い「むちうち」が入っている等級のため、認定件数は多いものとなっています。しかし症状があっても非該当になるケースも多く、認定を受けるためには適切な資料や証拠をそろえる必要があります。適切な後遺障害等級認定を受け、事故の苦痛に見合うだけの慰謝料を獲得するためには、法律と医療知識に詳しい交通事故弁護士に相談することをおすすめいたします。お悩みの際には弁護士法人ONEにご相談ください。