コラム一覧
売掛金の回収について
売掛金を未回収のまま放置していると、消滅時効が完成したり、取引先が倒産したりするおそれがあります。そのため、売掛金は早期に回収することが大切です。
1.裁判以外での回収方法
裁判以外で売掛金を回収する方法として、以下の4つのことが挙げられます。
(1)直接の請求
まずは相手方に請求書や催告書を送付したり、電話をかけたり、面談したりして直接請求しましょう。
相手方の実情によっては、分割払いや減額などの交渉をしてでも、早期に少しでも回収できるように交渉した方がよいこともあります。
(2)内容証明郵便の送付
相手方が交渉に応じない場合は、内容証明郵便を送付することによって催告するのが有効です。
「○日以内に支払わなければ法的措置をとる」と記載した内容証明郵便を送付すれば、相手方に心理的な圧力をかけることができます。
(3)債権譲渡
相手方の支払い能力が乏しい場合には、債権譲渡も有効な選択肢となります。取引先が他の取引先(第三債務者といいます。)に対して有している売掛金などの金銭債権があれば、それをこちらに譲渡するように交渉するのです。
交渉がまとまれば、第三債務者に対して債権譲渡通知の手続きを経た上で、その金銭債権を直接回収することが可能となります。
(4)公正証書の作成
売掛金の債権・債務の内容を公正証書(強制執行認諾文言付きのもの)にしておけば、相手方が支払わない場合には裁判をすることなく、強制執行を申し立てることができます。
また、公正証書があることで、相手方がこちらへの支払いを優先するようになるという効果も期待できます。
2.裁判手続きを利用した回収方法
以上の方法で売掛金の回収がままならないときは、以下のような裁判手続きも検討しましょう。
(1)支払督促
支払督促とは、裁判所から相手方に対して、簡単な書類審査だけで金銭債務の支払いを命じてくれる手続きのことです。
支払いが命じられた後、一定の期間内に相手方が異議を申し立てなければ、強制執行の申し立ても可能となります。
(2)即決和解
即決和解(訴え提起前の和解)とは、当事者が合意していて、裁判所がその合意を相当と認めた場合には、訴えを提起しなくても裁判上の和解が成立する制度のことです。
裁判所の和解調書に合意内容が記載されると確定判決と同一の効力を有するので、強制執行の申し立てが可能となります。
(3)少額訴訟
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に、原則として1回の期日で審理が終了する訴訟手続きのことです。
売掛金の残高が60万円以下の場合は、少額訴訟を検討するとよいでしょう。
(4)通常訴訟
売掛金の残高が60万円を超える場合は、通常の民事訴訟で支払いを請求することになります。
少額訴訟でも通常訴訟でも、判決が確定すると強制執行の申し立てが可能となります。
(5)民事調停
民事調停は、簡易裁判所で調停委員を介して話し合うことで解決を図る手続きです。
訴訟よりは申し立て費用が低額で、柔軟な解決を図りやすいというメリットがあります。状況によっては、民事調停の申し立ても視野に入れるとよいでしょう。
調停が成立した後は、強制執行の申し立ても可能となります。
3.強制執行
強制執行とは、確定した金銭債権に基づき相手方の財産を裁判所に差し押さえてもらい、その財産を換金するなどして債権の回収を図ることが認められる手続きのことです。
売掛金は相手方との交渉を通じて回収することが望ましいですが、時間が経過すると回収が難しくなるケースが少なくありません。そのため、早期に強制執行の申し立てを見通して、法的手続きを進めた方がよい場合もあります。
下関・宇部・周南・岩国の弁護士法人ONEでは、状況に応じて最善の回収方法をご提案し、売掛金のスムーズな回収をサポートいたします。売掛金の回収でお困りの方は、お気軽にご相談ください。