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交通機関の運休で損害が発生したときの補償は?

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台風や大雨などの影響で交通機関が運休したり、人身事故などの影響で遅延することはよくあります。そのために仕事やプライベートの大切な予定が台無しになることもあるでしょう。

運休や遅延で何らかの損害が発生した場合、電車やバス、飛行機などの運営会社に対して補償を求めることはできるのでしょうか?

1.旅客運送約款とは

旅客運送約款とは、交通機関の運営会社と旅客との間で発生する運賃の支払い義務や払い戻し義務、損害賠償義務などについて、あらかじめ定めた決まりのことです。

どの運営会社も旅客運送約款を備えています。旅客は乗車券を購入したり、ネットで予約したりした時点で、旅客運送約款に同意して契約を結んだことになるのです。

したがって、交通機関の運休や遅延が生じたときにどのような補償が受けられるかは、旅客運送約款の内容によります。

なお、旅客運送約款の内容は運営会社によって異なるものの、基本的な内容は概ね同じです。

2.運賃の払い戻しについて

天候などの影響で安全確保のためにやむを得ず運休となった場合は、運賃の全額払い戻しを請求できます。この点は、どの運営会社の約款にも記載されているはずです。

一方、遅延が生じた場合は一般的に運賃の払い戻しを請求することはできません。ただし、特急・急行列車については、「到着予定時刻より○時間以上遅れた場合は特急・急行料金を払い戻す」と旅客運送約款に定めている運営会社もあります。そのため、運営会社に問い合わせてみた方がよいでしょう。

3.損害賠償請求について

交通機関の運休や遅延によって、次のような損害が発生することもあるでしょう。

・会社を欠勤または遅刻してしまった
・大事な商談が流れてしまった
・予定していたライブやイベントに行けず、チケット代が無駄になった
・旅行のスケジュールが台無しになり、ホテルのキャンセル料がかかった
・恋人と会えず破局してしまった

旅客としては何らかの補償を求めたいところですが、残念ながら損害賠償請求はできません。なぜなら、どの運営会社も「当社の責に帰することができない事由により運行中止等の措置をしたときは、これによって旅客が受けた損害を賠償する責任を負わない」と旅客運送約款に定めているはずだからです。

悪天候や災害、人身事故などによる運休・遅延では、運営会社に責任は生じません。

4.勤務先での勤怠や処分について

会社によっては、欠勤または遅刻した場合でも交通機関が発行した遅延・運休証明書を提出すれば、欠勤・遅刻扱いとはしないところもあります。

ただし、原則として会社は、たとえ交通機関の運休や遅延によるものであっても欠勤・遅刻扱いとし、その分の給料を減額することが可能です。勤務先の対応に納得できないときは、就業規則を確認してみましょう。

解雇や減給などの懲戒処分が気になる方もいるかもしれませんが、交通機関の運休・遅延による欠勤・遅刻のみで懲戒処分が下されることはまずないと考えられます。

5.まとめ

交通機関の運休・遅延で損害が発生したときの補償は、基本的に運賃の払い戻しのみです。その他の損害については自己責任となります。

そもそも公共交通機関は、やむを得ない事由があるときには運休・遅延する場合があることを前提に運行されているものです。乗客も、それを承知の上で利用するという仕組みになっています。

天候が不安な場合は、運営会社のホームページや報道などで運行状況をこまめに確認することです。大切な予定がある場合には、早めに移動手段の変更や日程変更などを検討した方がよいでしょう。

勤務先や取引先などに対しては、早めに状況を報告して理解を求めるようにしましょう。

なお、勤務先で欠勤・遅刻以外に何らかの不利益な取り扱いを受けた場合は、労働法に違反している可能性が高いです。その場合には、弁護士へのご相談をおすすめします。

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