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子どもがスマホゲームに高額課金!親の支払い義務は?
近年は、スマートフォンで遊べるオンラインゲームが若者を中心に大人気です。
そんなオンラインゲームで、子どもが親のクレジットカードを無断で使用して、高額の課金をしてしまったというトラブルが多発しています。
このような場合、親はクレジットカード代金を支払う義務を負うのでしょうか。
1.スマホゲームへの課金とは
スマートフォンで遊べるオンラインゲームの中には無料のものもありますが、「ソーシャルゲーム」と呼ばれるものの中には、課金システムを導入しているものも多いです。
最初は無料で遊べても、やがて「ガチャ」などで課金しなければ先に進めなくなるため、次々に課金してしまう人が少なくありません。
昨今は高校生だけでなく中学生や小学生でもスマートフォンを持っていることが多く、親のクレジットカードを使って数十万円~数百万円もの金額を、ゲームに課金しているケースもあります。
2.原則として親に支払い義務がある
クレジットカードを不正利用された場合は、そのカード会社へ届け出ることによって損害の補償が受けられる制度があります。しかし、家族による不正利用は補償の対象外です。
同居の子どもが親のクレジットカードを無断で使用した場合は、ほとんどのケースで名義人によるカードの管理に落ち度が認められることから、「自分で使ったものではない」という主張も通りにくいでしょう。
したがって、子どもにクレジットカードを無断で使われたとしても、原則として親がその代金を支払わなければなりません。
3.未成年者による課金は取り消せる可能性あり
未成年(18歳未満)の子どもがゲームに課金した場合には、未成年者取消権によってその契約を取り消せる可能性があります。
民法5条(1項・2項)では、未成年者が法定代理人(保護者)の同意を得ずにした法律行為は取り消すことができるものとされています。
取消しが認められると、契約(課金)はなかったことになるため、親も子も支払い義務を免れます。
4.未成年者取消権が使えないケース
民法21条の規定により、未成年者が詐術を用いて契約した場合は、その契約は取り消せないことになります。
詐術とは、契約の相手方を誤信させるために、自分が成年者であるか、または法定代理人の同意を得ていると嘘をつくことです。
ただし、詐術に該当するのは、相手方を騙すために、ある程度は積極的な言動をした場合に限られると考えられています。そのため、未成年者が課金する際に以下の行為をしただけでは、詐術には該当しない可能性が高いです。
・年齢確認の画面で「成年である」と回答した
・生年月日を入力する画面で虚偽の生年月日を入力した
・親権者の同意の有無を確認する画面で「同意を得た」と回答した
結論として、未成年の子どもが親に無断でゲーム課金をした場合は、その契約を取り消せる可能性が十分にあるといえます。
ただし、親がクレジットカード代金を一部でも支払うと契約を追認したことになり、取り消せなくなるので注意が必要です。
5.契約を取り消す際は弁護士へ相談を
ゲーム課金の契約を取り消すためには、ゲーム提供会社に取消しの通知をして返金を求める必要があります。
しかし、ゲーム提供会社が簡単に取消し・返金に応じるとは限りません。むしろ、もめるケースの方が多いでしょう。
取消しが認められなければ親に支払い義務がありますので、ゲーム提供会社とは慎重に交渉する必要があります。
この交渉は、弁護士を通じて行うのがおすすめです。弁護士が論理的に事情を説明して交渉することにより、スムーズに取消し・返金が認められる可能性が高まります。取消しが難しい事案であっても、弁護士の交渉力によって代金の減額も期待できます。
弁護士法人ONEでも、ゲーム課金をはじめとするさまざまな契約トラブルに関するご相談を承っております。お困りの際は、下関、宇部、周南、岩国の法律事務所、弁護士法人ONEへお気軽にご相談ください。