解決事例一覧

団体交渉において勝利的和解を勝ち取った事例

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弁護士法人ONE代表弁護士の大賀一慶です。

今回は,企業法務の分野における当事務所の解決事例をご紹介します。

 

依頼者:当事務所顧問先の中小企業(売上高数億円程度,従業員十数人程度)

相手方:当事務所顧問先の従業員(男性)

 

 

1.事件の概要

 

 当社顧問先の中小企業(以下「会社」といいます。)において,従業員との間で業務上の事故及び賃金額について感情的な問題を含むトラブルが発生。従業員はトラブルが発生して以降は自主的に休業。

 会社から従業員に対して,休業の理由を明らかにすること,勤務継続か自主退職かの意思決定を求めて協議をしていたところ,従業員はいったん自主退職の意向を示すも,突然,労働組合から組合加入通知書及び団体交渉申入書が届き,自主退職を拒否するとともに未払い賃金の支払いを請求された事案。

 

 

2.事件の経緯

 

 会社の社長から当職の携帯電話に連絡があり,前記の概要を聞き取り。すぐさま他のアポイントをキャンセルして,会社を訪問。社長及び担当役員から詳細を聞き取り,当事務所において受任。

 団体交渉申入書に記載の第1回団交期日までに対応方針の決定と根拠資料を準備することは困難と判断。労働組合に対して受任通知を発送する際,時間を稼ぐために第1回団交期日を不誠実団交にならない程度(1~2週間程度)に,あえて変更を要求。

 第1回団交期日のみならず,第2回及び第3回団交期日の時間及び場所をあえて当方から提案して設定。不誠実団交になることを避けつつ,当方のスケジュールを確保して計画的な進行を図るとともに,交渉を有利に進めるための時間(他の従業員がいない時間,業務が繁忙でない時間),場所(定員4人程度の会社の会議室。労働組合が大人数で会社に押しかけることを抑止)を設定し,事業に対する悪影響を最小限に止める対策を実施。

 従業員に対しては就労不能の診断書の提出を求め,就業規則に基づき休職命令を発令。就労不能の診断書の提出がなければ欠勤となる旨を説明。

 第1回団交期日と第2回団交期日の間で,当事務所において過去2年間の時間外労働時間の厳密な算定を行ったところ,相当な時間外労働時間がある可能性が判明。他方,当事務所において従業員の主張する就労不能の原因を調査したところ,厚生労働省の精神障害の労災認定の基準に照らして労災認定の可能性は低いことが判明。少額の解決金の支払いにより,和解によって解決することを方針として決定。

 最終的に,あえて休職期間の満了日当日に設定しておいた第3回団交期日において,同日付けで自己都合退職とすること,離職理由を自己都合退職としつつも特定理由離職者として雇用保険の失業給付が受けられる内容の離職票を発行すること,未払い賃金として相手方が主張していた金額の50%程度の少額の解決金を支払うことで合意し,即日,合意書を締結することで解決した。

 

 

3.担当弁護士から一言

 

 昨今,労働組合の組織率は低下していますが,トラブルが発生した場合には従業員が個人加入の労働組合(ユニオン等と呼ばれます。)に加入して団体交渉等を行う事例が増えてきています。

 労働組合から団体交渉の申入れがある場合には,まず最初に組合加入通知書及び団体交渉申入書が会社に届くことが一般的ですが,大切なのは初動です。社長さんによっては,労働組合と対峙した経験がなく,労働組合と聞いただけで構えてしまい,不必要に攻撃的又は防衛的になって,法律上の根拠なく様々な画策をしてしまうことがありますが,それはトラブルが泥沼化する典型例です。

 労働組合は,労働者のために早期解決を目指していますが,同時に組織の拡大も目指しています。また,労働法分野における労働者の権利の保護をイデオロギーとしており,その労働組合の性格にもよりますが,闘争や運動を価値あるものと考えていますので,法律上の根拠のない対応や労働組合に対する誤った対応(不当労働行為等)に対しては,断固とした対応をします。

 初動はすばやく。

 計画的に十分な時間を確保し,対応方針の決定と根拠資料を準備すること。

 団体交渉は法律にのっとって,誠実に,かつ正々堂々と。

 団体交渉に限らず交渉事案においては,相手方の一挙手一投足から,相手方の主張の意図・真意・狙いを読み取って,法律的な解決に落とし込む必要がありますが,特に団体交渉においては,相手方は労働組合。当方も労働法分野に精通し,経験豊富な弁護士の同席が必要不可欠とお考え下さい。

 労働組合から会社に対して団体交渉の申入れがあったときには,すぐさま当事務所にご相談下さい。当事務所では顧問先の企業の皆さまには弁護士と直接に連絡が取れるよう弁護士の携帯電話番号をお知らせしています。法律顧問契約も是非ご検討下さい。

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