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性犯罪を厳罰化した改正刑法の問題点とは?
2023年6月、性犯罪を厳罰化する改正刑法が成立しました。
今までよりも性犯罪の被害者の保護を厚くすることや、性犯罪の撲滅を図ることは極めて重要です。
しかし、改正刑法の規定の一部には不明確な文言もあることから、処罰される範囲が不当に広がってしまうのではないかという問題点も指摘されています。
1.改正刑法における性犯罪重罰化のポイント
今回の刑法改正による性犯罪重罰化の主なポイントは、以下のとおりです。
1)「強制性交罪」(かつての強姦罪)が「不同意性交罪」に改められた
2)「準強制性交罪」(かつての準強姦罪)も「不同意性交罪」に含められた
3)性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられた
4)公訴時効の期間が延長された(不同意性交罪については10年から15年へ)
5)「子ども(16歳未満の者)をてなずけコントロールする罪」が新設された
6)盗撮防止のため「撮影罪」が新設された
2.不同意性交罪とは
不同意性交罪とは、相手方の同意がない性行為を処罰する犯罪のことです。
従来の強制性交罪は、加害者が暴行または脅迫を用いて、被害者の抵抗を著しく困難として性行為に及んだ場合にのみ成立する犯罪でした。
それが、今回の改正刑法では相手方の同意がない性行為を広く処罰できる内容に変更されたのです。
具体的には、以下の行為・事由または「これらに類する行為・事由」により、相手方が不同意の意思を表すことが難しい状態にさせ、性行為に及ぶと不同意性交罪が成立します。
1)暴行・脅迫
2)身体的または精神的に障害を生じさせること
3)アルコールや薬物を摂取させるこ
4)睡眠中など、意識がはっきりしない状態であること
5)相手方に拒絶するいとまを与えないこと
6)予想外の事態に直面させて怖がらせたり驚かせたりすること
7)虐待による心理的反応が生じていること
8)経済的または社会的関係上の地位による影響力が背景にあること
3.不同意性交罪に問われないための注意点
改正刑法の内容は、性犯罪の被害者を守るという趣旨から見れば妥当なものであるともいえるでしょう。
しかし、従来は特に咎められなかったような行為が犯罪となるおそれがあります。
例えば、デートでお酒を飲んだ後に性行為に及んだ場合、後に相手方の気が変わると「アルコールの影響で不同意を伝えられなかった」として訴えられることにもなりかねません。
また、職場で上司と部下が男女の交際をすることはよくありますが、関係が破綻した後に部下が「職場における力関係のために逆らえなかった」と言えば、上司が罪に問われることにもなりかねません。
さらに、改正刑法の規定には「これらに類する行為・事由により」という文言もあることから、どこまでの行為・自由が許されるのかが明確にわからないという批判もあります。
しかも、加害者(多くの場合は男性)が無実を主張するためには、同意があったことを加害者側が証明しなければなりません。
そのため、事前に同意書を交わさなければ安心して性行為もできないという批判もあるところです。
不同意性交罪に問われないための注意点を挙げるとすれば、相手方の同意があることを十分に確認してから性行為に及ぶように気をつけるしかありません。それでも、同意があったことの証拠を確保するのは難しいことも多いでしょう。
4.男女関係における行動が萎縮するおそれがある
いずれにせよ、性犯罪が厳罰化されたことにより、男女関係の進展に萎縮効果が生じることは間違いないでしょう。
厳罰化された以上は、捜査機関による取り締まりが強化されることも考えられます。一般的に加害者側が無実を証明するのは難しいため、えん罪が増えることも懸念されます。
万が一、性犯罪で訴えられた場合や、逆に性犯罪の被害にあった場合は、一人で悩まず弁護士に相談しましょう。
専門的なアドバイスを受け、必要に応じて弁護士のサポートを受けることで、適正な解決を図ることが重要です。法律のお悩みは下関・宇部・周南・岩国の弁護士法人ONEにご相談ください。