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岩国周辺で裁判員裁判が気になる方へ
テレビのニュースや特集などの報道で、裁判員裁判に関する話題を見聞きすることもあると思います。
中には既に裁判員を経験した方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの方は、
「いつか裁判員に選ばれるのではないか」
「もし裁判員に選ばれたらどうしよう」
などと考えることもあるのではないでしょうか。
今回は、岩国で裁判員裁判が気になる方に知っておいていただきたいことを解説していきます。
1.裁判員裁判とは
裁判員裁判とは、一般の国民が裁判員として刑事裁判に参加する制度のことです。
原則として6人の裁判員と3人の裁判官が一緒に審理を進め、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑にするのかを決めます。
裁判員と裁判官は同じ権限を持ちますが、分からないことは裁判官が丁寧に教えてくれますので、裁判員に選任されたとしても、特に難しいことを勉強する必要はありません。
国民が司法に参加することで裁判の公平性や透明性を高めることが期待されていますので、裁判員は国民としての視点や感覚を刑事裁判に反映させることこそが望ましいのです。
2.山口県での裁判員裁判は山口地裁でのみ行われる
岩国にも裁判所はありますが、山口県での裁判員裁判は、山口市内にある山口地方裁判所(本庁)でのみ行われます。
しかし、裁判員は山口市民だけではなく、山口県民全体から選ばれます。岩国にお住まいの方も裁判員に選ばれる可能性があり、選ばれた場合には山口地方裁判所へ出頭しなければなりません。
ただし、旅費などの費用は、次にご説明するように裁判所から支給されます。
3.岩国の方が裁判員に選ばれた場合に支給される費用
裁判員として刑事裁判に参加した方には、日当の他に、必要に応じて旅費や宿泊料も支給されます。
日当は1日あたり1万0,200円以内で、その日の手続きに要した時間に応じて裁判所が定めることとされています。昼食費は日当でまかなうこととされており、別途支給はされません。
旅費は、鉄道ですと新幹線を利用するのが時間の面では最も速いですが、岩国市から山口市までの距離ですと、在来線の運賃しか支給されません。
自家用車やバスを利用する場合は、1㎞あたり37円で計算した金額が支給されます。
宿泊費は、裁判に参加するために必要な場合に支給されます。岩国市から山口市までの距離で支給されるかどうかは、個別の事情によります。宿泊が必要かどうかは裁判所が決めることですが、在来線やバスを利用しては裁判所に指定された時間に出頭できないという場合は、裁判所の担当者に事情を伝えて相談しましょう。
4.裁判員裁判にかかる期間
裁判員裁判の多くは4日前後で終わっていますが、事件の内容によって期間が異なるため、一概にはいえません。3日以内に終わる事件もあれば、100日以上かかる事件もあります。
通常の刑事裁判とは異なり、裁判員裁判は土日・祝日を除いて毎日開廷されますので、終了するまで毎日出廷しなければなりません。
どうしても出廷が難しいと考えられる場合には、選任手続きの段階で具体的な事情を伝えておきましょう。基本的には、拒否の意向を示しているにもかかわらず無理に選任されることはありません。
裁判員に選任された後でも、やむを得ない事情がある場合には途中で事態が認められる可能性がありますので、無理をせず裁判長などに相談してみるとよいでしょう。
5.裁判員に選任される確率
山口地方裁判所で行われる裁判員裁判は、例年、数件~10件程度です。
1つの事件につき裁判員6人と、補充裁判員として数名~最大6人が選任されますので、年間でおおよそ、100人程度が選任されていることになります。
しかし、山口県の人口は130万人程度ですので、裁判員に選任される確率はごくわずかといえるでしょう。
しかし、裁判員裁判に参加することは貴重な経験となります。裁判所等が裁判員経験者に対して行ったアンケートでは、大半の方が「良い経験と感じた」と回答しています。
裁判員候補者としての呼出状が届いた際には、事情が許すのであれば前向きに考えてみるのもよいでしょう。
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