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自転車保険に加入する必要はない?

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全国の都道府県で、自転車保険への加入を義務付ける動きが進んでいます。ただ、今のところはまだ自転車保険に加入していない方も多いのではないでしょうか。

自転車保険には必ず加入しないといけないのか、加入しなければどうなるのか、などは気になるところでしょう。

加入すべきかどうかや、注意点などをわかりやすく解説していきます。

1.自転車保険の義務化

自転車と歩行者との事故や、自転車同士の事故で人が負傷するケースは少なくありません。事故の相手に損害が発生した場合には、損害賠償金を支払わなければなりません。

自転車事故でも損害賠償金の計算方法は、自動車やバイクによる事故の場合と同じです。事故の程度によっては、高額の賠償責任が発生することもあります。

そのため、2015年10月に兵庫県において、全国で初めて自転車保険への加入を義務化する条例が制定されました。

その後、全国に自転車保険の義務化の動きが広まっています。お住まいの地域で義務化されているかどうかは、インターネットの検索窓に「自転車保険 義務化 ○○(お住まいの都道府県名)」と入力して検索すれば確認できます。

2.自転車保険に加入しないとどうなる?

今のところ(2022年10月時点)、自転車保険に加入しなくても罰則はありません。したがって、自転車保険に加入しなくても、自動車やバイクを無保険で運転した場合のように処罰されることはありません。

ただし、万が一、事故を起こした場合には損害賠償金を自分で支払わなければならないというリスクがあることに注意が必要です。

裁判例では、自転車事故でも加害者に数千万円から約1億円もの賠償金の支払いを命じられたケースが複数あります。

それほど重大な事故ではなくても、賠償額が数十万円から数百万円に上る可能性は十分にあります。このような賠償金を自力で支払うとすると、経済的負担は大きなものとなるでしょう。

3.自転車保険に加入すべき人

自転車保険に加入すべきなのは、基本的に「自転車の利用者」です。

ただし、未成年者が自転車を利用する場合には、その保護者が自転車保険に加入することが義務付けられています。

また、自転車保険への加入が義務化されていない地域にお住まいの方でも、義務化されている地域で自転車に乗るためには加入が必要となることに注意しましょう。

4.保険の二重加入に要注意

今では多くの損害保険会社が自転車保険を提供していますが、必ずしも「自転車保険」という名称の保険に加入しなければならないわけではありません。

どのような保険に加入すればよいのかというと、「自転車での交通事故により生じた損害が補償される保険または共済」です。

日常生活の中で誤って他人の物を壊したり、他人にケガをさせたときの損害が補償される保険としては「個人賠償責任保険」があります。

そして、個人賠償責任保険は自動車保険や火災保険、傷害保険などの特約として付いていることが多いものです。多くのクレジットカードにも自動付帯されています。

個人賠償責任保険に入っている人がさらに自転車保険に加入すると、保険の二重加入となり、保険料が無駄になる可能性がありますので、ご注意ください。

ただし、自転車事故を起こしてしまうと高額の賠償責任が発生する可能性があるので、個人賠償責任保険の補償額は少なくとも1億円以上に設定しておきたいところです。

なお、個人賠償責任保険では、自転車事故で自分が負った損害は補償されません。自分の損害を補償してもらうためには、「傷害保険」に加入しておきたいところです。個人賠償特約付きの傷害保険に加入している場合は、改めて自転車保険に加入する必要はありません。

まだ自転車保険への加入が義務化されていない地域にお住まいの方にとっても、万が一のことを考えると、できる限り保険には加入しておかれた方が望ましいといえます。

一度、ご自身が加入している保険をご確認の上、必要に応じて保険会社に相談してみるとよいでしょう。山口県内の法律相談は、下関・宇部・周南・岩国の弁護士法人ONEにご相談ください。

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