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食品に異物が混入していたら? コンタミネーションと法律

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外食で注文した料理や、スーパー・コンビニ等で購入した惣菜、弁当などに異物が混入していたという経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
国民生活センターに寄せられている相談の中には、虫、金属片、人の毛髪や体毛が混入しているケースが多いとのことです。

今回は、注文・購入した食品に異物が混入していた場合はどうすればよいのかについて解説します。

1.代金は返金してもらえる?

異物が混入している食品を提供した飲食店や販売店、製造業者などは、安全な食品を提供するという債務を果たしていません。
したがって、客としては、異物が混入していない代替品の提供を求めるか、または支払った代金の返還を求めることができます。

2.慰謝料などの損害賠償請求はできる?

混入していた異物を飲食することにより、嘔吐、下痢、腹痛、その他の健康被害が生じた場合や、口の中を怪我した場合は、損害賠償請求が可能です。
具体的には、治療費や、仕事を休んだ場合は休業損害などについて、民法あるいは製造物責任法に基づき賠償を請求できます。
精神的苦痛に対する慰謝料請求が認められる可能性もあります。

ただし、異物混入に気付いて飲食しなかった場合や、飲食したとしても実害が生じなかった場合は、基本的に損害賠償請求は認められにくいです。

3.店や製造・加工業者に対する罰則は?

異物が混入している食品を提供した事業者には、食品衛生法違反として3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑罰が科せられる可能性があります。
その他にも、刑事罰ではありませんが、保健所から改善命令や営業禁停止などの行政処分を受けることもあります。

さらにいえば、テレビや新聞、ネットニュースなどで異物混入の事実が報道されると、企業イメージの低下は免れないでしょう。

4.自作自演は絶対にしないこと

無銭飲食を目論んだり、SNSの閲覧数を増やしたりするなどの目的で、客が自作自演で食品に異物を混入させて店にクレームを入れる事件がたびたび発生しています。

異物混入の自作自演は犯罪行為なので、絶対に行ってはいけません。
自作自演のクレームで店から返金を受けた場合は、詐欺罪が成立します。刑罰は10年以下の懲役です。
食品に異物が混入していたと偽ってSNSなどに投稿した場合には、信用毀損罪や偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。
刑罰は、どちらも3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

5.客の勘違いだった場合も罪になる?

店や製造・加工業者に落ち度はなく、客自身の毛髪が食品に混入し、勘違いでクレームを入れるケースもあります。
詐欺罪や信用毀損罪、偽計業務妨害罪は犯罪の故意がなければ成立しないため、勘違いのクレームで騒ぎになったとしても罪に問われることはありません。

ただし、風評被害などで事業者に売上減少などの損害が生じた場合には、過失であっても民事上の損害賠償請求を受けることがあるので注意が必要です。

6.食品に異物が混入していたらどうすればよい?

飲食前に異物混入に気付いたら、購入した食品の場合はすぐ店に連絡することです。異物が混入した食品は証拠となるので、捨てずに店へ持参しましょう。
外食の場合は、店員を呼んで異物混入の事実を一緒に確認することです。

異物が混入した食品を飲食して嘔吐、下痢、腹痛などの症状が出た場合や、口の中を怪我したような場合は、すぐ医療機関を受診しましょう。
その際、損害賠償請求の証拠として診断書をとっておくことが大切です。
そして、いずれの場合も、感情的になって店を責め立てるのではなく、冷静になって返金や損害賠償などの交渉するようにしましょう。

事業者側の対応に誠意が見られない場合や、自作自演を疑われたような場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
山口県の法律相談は、下関・宇部・周南・岩国の弁護士法人ONEにご連絡ください。

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