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NHKの受信料を支払わないとどうなる?

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自宅などにテレビを設置すると、NHKの受信料を請求されます。

しかし、納得できないので払いたくないという方や、経済的な事情で支払いが難しいという方もいらっしゃることでしょう。

NHKの受信料を支払わないとどうなるのでしょうか?

1.NHK受信料の支払い義務の根拠

放送法では、「NHK放送を受信できる設備を設置した者は、NHKと受信契約を結ばなければならい」と定められています。

この条文だけでは受信料の支払い義務の有無が明確ではありませんが、NHKは総務大臣の認可を受けた「日本放送協会放送受信規約」というものを策定し、この規約の中で受信料の支払い義務について定めています。

この規約が法的に受信料の支払い義務の根拠となるかどうかについて議論はありますが、裁判例上、この規約は法的に有効なものとされています。

2.NHKと契約しながら受信料を払わないとどうなる?

裁判例の判断を前提とすれば、一般的なテレビを自宅などに設置すれば受信料の支払い義務が発生することになります。

NHKと契約しながら受信料を払わなければ、以下のような事態が生じます。

(1)請求書が届く

当然ながら、滞納している受信料の支払いを求める請求書がNHKから定期的に送られてきます。

(2)集金人が訪問してくる

請求書を無視していると、NHKの集金人が自宅などに尋ねてきます。

通常、集金にやってくるのはNHKから業務委託を受けて集金業務と担当する外部の人です。この集金人にはお金を受け取る権限しかなく、「払わない」という人に対して支払いを請求したり、交渉したりする権限はありません。

したがって、集金人に対して「払いません。お帰りください」と告げれば、集金人は退去しなければなりません。

それでも集金人が支払いを要求した場合は、不退去罪やサービサー法違反、弁護士法違反などの犯罪に該当しますので、警察に通報することも可能です。

(3)裁判を起こされる

ただ、受信料の不払いを続けていると、NHKから裁判を起こされることがあります。

多くの場合は「支払督促」を申し立てられ、裁判所から書類が届きます。それから2週間以内に異議申立てをしなければ支払督促に「仮執行宣言」が付与され、次の差し押さえ手続きに進みます。

(4)財産を差し押さえられる

支払督促に仮執行宣言が付与された場合や、通常の民事訴訟で言い渡された判決が確定した場合は、NHKは強制執行を申し立てて、財産を差し押さえてくる可能性があります。

差し押さえられるものは主に給料や財産ですが、生命保険や有価証券、自動車など、その他の財産が差し押さえられる可能性もあるので注意が必要です。

(5)罰則はない

NHK受信料を払わなくても罰則はありませんので、刑事罰などのペナルティーを受けることはありません。

3.NHKと契約しなくても受信料の支払い義務は発生する

NHKと契約しなくても、NHK放送を受信可能なテレビを自宅などに設置すると、受信料の支払い義務が発生することに注意しなければなりません。

なぜなら、NHKは民法第414条1項本文に基づき、法的手段をもって強制的に契約を成立させることが可能だからです。

このことを「意思表示の擬制」といいます。

4.NHK受信料には時効がある

NHK受信料の支払い義務は5年で時効にかかります。したがって、NHKと契約しながら受信料を払わず裁判を起こされた場合でも、時効を援用すれば最大で5年分の受信料を支払えばよいことになります。

ただし、NHKと契約しておらず意思表示の擬制によって契約が成立したとみなされる場合には、そのときから時効期間が進行し始めます。

受信料の支払い義務はテレビを設置したときに遡って発生し、5年以上前の部分についても時効が成立しないため、全額を支払わなければなりません。

最近、NHKから国民を守る党が「受信料を支払わないように」と呼びかけており、その主張には傾聴に値する部分もあります。

しかし、現時点では受信料を不払いにすると裁判や差し押さえを受ける可能性がありますので、受信料の不払いは自己責任と言わざるを得ないのが現状です。

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