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支払督促とは〜メリットやデメリット、かかる費用は?〜

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売掛金や賃料、貸金などの金銭債権を相手が支払ってくれない場合には、支払督促(しはらいとくそく)を申し立てることにより、簡易的な手続きで債権回収を図ることができます。

今回は、支払督促とは何かについてご説明します。

1.支払督促とは

支払督促とは、債務者が金銭債務を支払わない場合に、民事裁判を開くことなく、裁判所が簡単な書類審査のみで債務者に対して支払いを命じてくれる法的手続きのことです。
債務者が支払督促に対して異議を申し立てないまま一定の期間が経過すると、債権者は強制執行を申し立てることが可能となります。

債権者としては、手間や時間、費用の負担が大きい民事裁判を起こすことなく債権の回収を図ることができるので、支払督促には大きなメリットがあるといえるでしょう。

2.支払督促の流れ

支払督促の申立てるには、相手の住所地にある簡易裁判所へ、申立書などの必要書類を提出します。郵送でも可能です。
申立てが受理されると、裁判所書記官は相手の言い分を聞くことなく、相当と認められる場合は支払督促を発布し、相手へ送達します。
相手が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申立てが行われなければ、申立人は裁判所へ仮執行宣言の申立てができるようになります。
裁判所書記官が発布した仮執行宣言付き支払督促を相手が受け取ってから2週間以内に異議申立てが行われなければ、申立人は強制執行の申立てが可能となります。つまり、相手の財産を差し押さえて、債権の回収を図ることができます。

ただし、相手が支払督促に対して異議申立てをした場合は、民事訴訟の手続きへ移行します。

3.支払督促にかかる費用

支払督促の手続きには、以下の実費がかかります。

・収入印紙代(申立手数料):請求額に応じて異なる(例:100万円を請求する場合は5,000円)
・郵便切手代(支払督促正本送達費用):1,099円分(申立書が9枚以上の場合は1,145円)×債務者の数
・郵便切手代(支払督促発付通知費用):63円(封書での通知を希望する場合は84円)
・資格証明書手数料(法人の場合):600円

ただし、郵便切手代は裁判所によって異なることがあるので、事前に申立先の裁判所へ問い合わせて確認しましょう。

弁護士に依頼せず自分で申し立てる場合は、他に費用はかかりません。

4.支払督促のメリット

支払督促の手続きは、民事裁判と比べて非常に簡潔です。労力や費用の負担を抑えて、スピーディに債権の回収を図ることができます。
また、支払督促の申立てに証拠は不要です。したがって、口約束の取引などで明確な証拠がない場合でも、支払督促を利用できます。

5.支払督促のデメリット

支払督促には大きなメリットがありますが、以下のデメリットがあることにも注意しておきましょう。

・相手が異議申立てをすると通常訴訟となる
・相手の財産を特定しなければ差し押さえはできない
・相手の住所が分からなければ申立てができない

通常訴訟となれば、相手の住所地にある裁判所が管轄となります。
そのため、遠方の裁判所へ出頭しなければならないこともあるでしょう。

また、通常訴訟の手続きは複雑なので、手間や時間がかかります。
一般的には弁護士へ依頼する必要性が高まるので、弁護士費用もかかるでしょう。証拠が不十分な場合には、敗訴するリスクもあります。

このようなデメリットを考慮すると、あらゆるケースで支払督促が有効になるとはいえません。
相手が争う可能性が高い場合には最初から民事裁判を起こした方がよいこともありますし、証拠がない場合には話し合いによる解決を図った方がよいこともあるでしょう。

最適な債権回収の方法を検討するためには、弁護士へのご相談をおすすめします。
弁護士法人ONEでは、債権回収の経験豊富な弁護士が適切な法的手続きをご提案し、解決までサポートいたします。債権回収でお困りの際は、下関、宇部、周南、岩国の弁護士法人ONEへお気軽にご相談ください。

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