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退職代行サービスを使うときの注意点
近年、仕事を辞めたいけれど自分では言い出しにくいという方を対象とした「退職代行サービス」を提供する業者が増えています。
退職代行サービスを使うのは悪いことではありませんが、場合によっては結果に満足できないこともあるようです。
今回は、退職代行サービスを使うときの注意点をご紹介します。
1.退職代行サービスとは
退職代行サービスとは、労働者本人に代わって勤務先に退職の意思を伝えるサービスのことです。
「自分で退職を申し出る勇気がない」、「手っ取り早く会社を辞めたい」などの理由で、退職代行サービスを利用する方が昨今急増しています。
2.退職代行サービスで退職できる?
退職代行サービスを利用すれば、退職すること自体は可能です。
なぜなら、雇用期間の定めがない労働者は、原則としていつでも自由に退職を申し出ることができるからです。退職の申出は、代行業者などを「使者」として行うことも認められます。
退職を申し出た後は、たとえ無断欠勤を続けたとしても2週間が経過すれば雇用契約が終了し、退職したことになるというわけです。
ただし、退職代行サービスを利用して一方的に仕事を辞めた場合には、会社との間でさまざまなトラブルが生じがちです。
3.退職代行サービスを使うときの注意点
退職代行サービスはさまざまな業者が提供していますが、弁護士以外の業者に依頼するとトラブルが生じやすいことに注意しなければなりません。
通常、退職する際には、退職日や退職金、有給休暇の消化や引継ぎなどをめぐって会社と交渉する必要があるでしょう。これらの交渉ごとは、弁護士でなければできません。弁護士以外の人が報酬目的で第三者の法律問題に介入することは、弁護士法72条で「非弁行為」として禁止されているからです。
したがって、弁護士以外の業者は、会社に対して単に退職の意思を伝えることしかできません。会社との交渉ごとには、労働者本人が直接対応する必要が出てきます。
このような問題があるため、弁護士以外の業者を利用した場合には、次のようなトラブルが生じることが多いです。
・会社が退職を認めず、直接連絡してくる
・無断欠勤扱いとなり、懲戒解雇にされる
・退職金を払ってもらえない、または減額される
・未払いの給料や残業代を払ってもらえない
なかには非弁行為をする業者もいますが、非弁行為は犯罪です。犯罪を行う業者は悪徳業者である可能性も高く、追加料金などで高額の費用を請求されるおそれもあるでしょう。
4.退職時の法的問題は弁護士に相談を
退職代行サービスを利用したいとお考えの方の中には、「未払いの給料や残業代を請求したい」、「セクハラやパワハラを受けたので損害賠償請求をしたい」という方もいらっしゃることでしょう。
これらの法的問題を自力で解決できない場合には、弁護士の力が必要となります。
そのため、できれば退職代行サービスを利用する前に弁護士へのご相談をおすすめします。
在職中にご相談いただいた方が、未払いの給料・残業代の請求や損害賠償請求に必要な証拠を確保しやすくなるからです。
証拠の確保ができれば、請求手続きから会社側との交渉、必要であれば裁判まで、複雑な手続きは弁護士にお任せいただけます。
弁護士のサポートを利用することで、納得のいく形での退職が実現することでしょう。
既に退職した後でも、法的問題が残っている場合は弁護士にご相談ください。最善の解決策が見つかるはずです。
弁護士以外の退職代行業者を利用すると、退職はできたとしても他の問題が何も解決せず、不満が残ることになりがちです。
労働問題でお悩みを抱えている方は、下関、宇部、周南、岩国の弁護士法人ONEへお気軽にご相談ください。