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刑事裁判の判決について
刑事裁判で言い渡される判決は、主に有罪判決と無罪判決に分けられます。ただ、有罪判決の中にもいくつかの種類があり、有罪でも刑罰が科せられないケースもあります。
今回は、刑事裁判の判決について、判決後の流れも併せて解説します。
1.判決の種類
刑事裁判の判決には、以下の種類があります。
(1)無罪判決
刑事裁判で証拠調べをしても、犯人は被告人ではない、被告人の行為犯罪に当たらない、などの疑いが残る場合は、無罪判決が言い渡されます。
(2)実刑判決
被告人の犯行が十分に立証されると、有罪判決が言い渡されます。判決確定後、実際に刑が執行される判決のことを「実刑判決」といいます。
(3)執行猶予付き判決
執行猶予判決とは、有罪判決のうち、1年以上5年以下の期間、刑の執行が猶予される判決のことです。執行猶予期間中に再び罪を犯さず問題なく過ごせば、刑の言い渡しは効力を失います。つまり、刑罰を受けずに済むということです。
実務上、執行猶予付き判決が言い渡されるのは懲役刑または禁錮刑が言い渡されるケースのみであり、罰金刑に執行猶予が付くことはほとんどありません。
なお、執行猶予付き判決には刑の「全部執行猶予」と「一部執行猶予」とがあります。例えば懲役3年の刑で一部執行猶予が付く場合、1年のみ刑を執行し、残り2年の刑は執行を猶予する、などと判決で言い渡されます。
(4)刑の免除判決
刑の免除判決とは、有罪ではあるが刑罰を科さずに免除するという判決です。殺人罪や傷害罪などで正当防衛が成立するケースが典型例です。
(5)その他の判決
その他にも、稀ですが次のような判決があります。
・管轄違いの判決…検察官が起訴すべき裁判所を誤った場合などに言い渡される判決
・免訴判決…公訴時効が成立した場合のように、公訴権がない場合に言い渡される判決
・公訴棄却…形式的な訴訟条件がかけている場合に言い渡される判決
2.判決後の流れ
無罪判決または執行猶予付き判決が言い渡されると、被告人が勾留されている場合には、その場で身柄が解放されます。逆に、懲役刑や禁錮刑の実刑判決が言い渡されると、被告人が勾留されていなくても、その場で身柄を拘束されます。
判決に不服があれば、言い渡しから2週間以内に控訴ができます。控訴がなければ判決が確定します。
判決が確定すると、実刑判決の場合は刑務所などの刑事施設に収監されます。執行猶予付き判決の場合は自由に生活できますが、保護観察を命じられた場合は所定の遵守事項を守らなければなりません。
罰金判決の場合は、速やかに検察庁に罰金を納めなければなりません。払えない場合は労役場に留置され、罰金を納める代わりに労働を命じられることもあります。この場合、労働1日につき5,000円程度に換算されるのが相場です。
3.判決で前科が付く?
無罪判決では前科は付きませんが、有罪判決では前科が付きます。実刑判決はもちろんのこと、執行猶予判決や刑の免除判決でも、有罪判決なので前科が付くことに注意が必要です。
4.有利な判決を得るためにやるべきこと
無罪判決を獲得するためには、取り調べで自白しないことが極めて重要です。自白調書を作成されてしまうと、刑事裁判で有罪の重大な証拠として採用される可能性が高いからです。
自白してしまった場合は、なぜ事実に反して罪を認めてしまったのかを刑事裁判で主張し、立証しなければなりません。しかし、この立証は容易ではありません。
有罪を免れない場合は、執行猶予付き判決を目指すことになります。執行猶予の条件を満たさない場合は、できる限り軽い量刑を目指すことになるでしょう。
そのためには、被害者との示談が重要です。示談金の支払いを済ませ、被害者から「処罰を望まない」という意見が得られれば、量刑で有利な情状となります。示談が成立しない場合でも、謝罪の手紙を送付したり、賠償金を提供したりすることが有効です。
また、被告人が真摯に反省し、再犯を防ぐための具体的な方策を講じることも不可欠です。被告人の家族や職場の上司など身近な人が情状証人として裁判に出廷し、今後における被告人の生活の指導監督を誓約することもプラスの情状となります。
刑事裁判で有利な判決を得るためには、裁判が始まる前から無罪立証や情状立証の準備を進めることが大切です。さらにいえば、捜査段階から適切な対応をすれば不起訴処分となり、刑事裁判を回避できることもあります。
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