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仮釈放について
有罪判決を受けて刑務所に収容された人でも、仮釈放によって早期に家族の元へ帰れる可能性があります。
仮釈放について、受刑者のご家族に知っておいていただきたいポイントをご説明します。
1.仮釈放とは
仮釈放とは、懲役刑や禁錮刑で刑務所に収容されている人の身柄を、刑期の満了前に仮に解放する制度のことです。
受刑者を早い段階で社会内に戻し、保護観察所等の指導のもとに更生を図りながら、スムーズに社会復帰させることを目的とした制度です。
2.仮釈放の条件
仮釈放は、次の3つの条件を満たさなければ許可されません(刑法28条)。
・受刑者に改悛の情があること
・有期刑では刑期の3分の1、無期刑では10年以上が経過していること
・行政官庁の処分によること
行政官庁(地方更生保護委員会)の処分の際には、次の5つの事情を考慮して改悛の情があるかどうかが判断されます(犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則28条)。
・悔悟の情があるか
・改善更生の意欲があるか
・再犯のおそれがないか
・保護観察に付することが改善更生のために相当か
・社会の感情が仮釈放を許すか
ただし、仮釈放は簡単に許可されるとは限りません。そこで次に、仮釈放率や仮釈放されるまでの期間をみていきましょう。
3.仮釈放率と仮釈放されるまでの期間
犯罪白書によると、受刑者のうち仮釈放される人の割合は例年50~60%程度で推移しています。
仮釈放されるまでの期間は刑期の70%以上が経過した後がほとんどで、70%未満の刑期で仮釈放されるケースは近年では1~2%に過ぎません。
懲役10年のケースなら、法律上は3年4ヶ月が経過すれば仮釈放が可能となりますが、実際には7年以上は服役しないと仮釈放はあまり期待できないという現状です。
逆にいえば、刑期の70%以上が経過すると、状況次第ですが仮釈放が認められる可能性が十分にあるといえます。
また、無期刑の場合も法律上は10年で仮釈放が可能となりますが、実際には30年以上は服役しないと仮釈放は許可されていません。その理由は、有期刑の上限が30年であるため、無期刑の受刑者を30年未満で仮釈放することは相当でないと考えられているからです。
法務省の資料によると、無期刑の受刑者が仮釈放されるまでの期間は平均37年6ヶ月とされています。
4.仮釈放を早めるために家族ができること
仮釈放は、刑務所長からの申請により地方更生保護委員会が審理して許否を決めます。
家族ができることは限られますが、次のような活動によって仮釈放を早められる可能性があります。
・受刑者と面会して反省や改善更生を促す
・身元保証人になることを申し出る
・被害者への謝罪や被害弁償、示談に努める
・出所後の生活環境を整えておく
出所後の正確環境の調整としては、居住先や就職先を手配したり、生活費などで金銭的なサポートをしたり、同居するなどして本人の行動を指導・監督したりすることが考えられます。
5.仮釈放後の注意点
仮釈放が認められても、再び罪を犯したり、保護観察の遵守事項を守らなかったりすると、仮釈放が取り消されることがあります。
遵守事項とは、仮釈放後の日常生活において改善更生のために守るべきルールのことで、保護観察所によって細かなルールが定められます。
仮釈放が取り消されると、本人は再び刑務所に収容されてしまいます。
このような事態を防止するためには、家族としても本人を注意深く見守り、問題行動を起こさないようにサポートすることが重要となるでしょう。
受刑者もいずれは社会に戻るのですから、早い段階から社会内で改善更生を図れる仮釈放には大きなメリットがあるといえます。
弁護士から受刑者や刑務所に働きかけて仮釈放の可能性を高めることが可能な場合もあります。受刑中のご家族の仮釈放を望まれる方は、一度、下関、宇部、周南、岩国の弁護士法人ONEへご相談ください。