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ピンポンダッシュは犯罪?何罪?逮捕される?
2022年7月、福岡県でいわゆる「ピンポンダッシュ」をしていた少年らが警察に逮捕されるという事件がありました。
ピンポンダッシュをするだけで何らかの犯罪となるのか、なるとして何罪に問われるのかが気になった方も多いのではないでしょうか。
1.ピンポンダッシュによる逮捕事例
報道によると、2022年7月13日、4人組の少年らが福岡県築上町内の住宅のインターホンを鳴らして走り去る「ピンポンダッシュ」をする様子が防犯カメラに映っていたとのことです。
少年らは午前3時半過ぎから6時半頃にかけて、同じ住宅に対して3回にわたりピンポンダッシュをしたといいます。
その後、被害に遭った居住者の男性が警察に連絡し、男性と警察が付近を巡回していたところ、防犯カメラに映っていた人物とよく似た少年らを発見しました。
警察に気付いた少年らは四方八方に逃げ出しましたが、そのうちの1人が逃げる際に居住者の男性の胸元を突き飛ばしたとして、暴行の容疑で現行犯逮捕されました。
この報道ではピンポンダッシュだけで犯罪が成立するのかは明らかではありませんが、以下で法的に確認していきましょう。
2.ピンポンダッシュで成立しうる犯罪
理論上、ピンポンダッシュだけでも以下の犯罪が成立する可能性があります。
(1)住居侵入罪
インターホンを鳴らすために住宅の敷地内に立ち入った場合は、正当な理由のない立ち入り行為なので、住居侵入罪が成立する可能性があります。
刑罰は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
(2)迷惑防止条例違反
ピンポンダッシュは、各都道府県の迷惑防止条例違反に該当する可能性もあります。
例えば、千葉県の迷惑防止条例には「呼鈴等による嫌がらせ行為等の禁止」という条文があります。
この禁止行為に該当した場合の刑罰は5万円以下の罰金または拘留もしくは科料ですが、常習として行っていた場合は6ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金となります。
千葉県のようにピンポンダッシュを真正面から禁止する条文を定めている自治体は多くありませんが、ほとんどの自治体の迷惑防止条例には、特定の人に対する恨みや悪意の感情による嫌がらせ行為を禁止する条文を定めています。
東京都の迷惑防止条例では、「つきまとい」あるいは「住居への押し掛け」に該当する可能性があります。
該当する場合の刑罰は1年以下の懲役または100万円以下の罰金ですが、常習として行っていた場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
(3)ストーカー規制法違
特定の人に対する恋愛や怨恨の感情からピンポンダッシュを繰り返していたような場合には、ストーカー規制法違反に該当する可能性もあります。
該当する場合の刑罰は1年以下の懲役または100万円以下の罰金ですが、公安委員会の禁止命令に違反してさらに行った場合は2年以下の懲役または200万円以下の罰金となります。
(4)偽計業務妨害罪
会社の事業所や店舗などに対してピンポンダッシュを行い、従業員が仕事を中断して対応させられたような場合には、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。
刑罰は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
2.子どもは罪に問われない?
冒頭の逮捕事例の少年たちは高校生のようですが、ピンポンダッシュは主に小中学生以下の子どもが行うケースが多いと考えられます。
刑法上、14歳未満の者の行為は処罰されないので、逮捕されることもありません。
しかし、補導されることはありますし、その場合は前歴が残ります。
14歳以上の者については、冒頭の事例のように逮捕される可能性が十分にあります。
ピンポンダッシュを1回しただけで重罪に処せられることはないとしても、された方にとっては迷惑極まりないものです。
お子様がいらっしゃる方は、たかがピンポンダッシュと思わず、くれぐれもご注意を。法律相談でお困りの際は、お早めに下関・宇部・周南・岩国の弁護士法人ONEまでご相談ください。